映画 残像 ☆☆☆☆

■  POWIDOKI  2016年  ポーランド 99分
         (名演小劇場)

■ 監督 アンジェイ・ワイダ
■ 脚本 アンジェイ・ワイダ
■ 撮影 パヴェウ・エデルマン
■ 音楽 アンジェイ・パヌフニク
■ 出演 ボグスワフ・リンダ
        ブロニスワヴァ・ザマホフスカ


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アンジェイ・ワイダ。
「自由」と「抵抗」の映画作家。

90歳にして、前衛画家ストゥシェミンスキの最期
を、はっと胸を衝くショットを交えて描き、そして
昨年に逝去した。

「灰とダイヤモンド」でみせた革命への痛切は
遺作となったこの「残像」にも感じられる。

ワイダが追究したかったのは、人の持つ強い意志の
在り様だったに違いない。
と同時に、全体主義への反発と警鐘だったろう。

主演のボグスワフ・リンダと
娘役のブロニスワヴァ・ザマホフスカが
素晴らしい。

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ワイダは佳き俳優にも恵まれた映画監督だった。

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映画 まるでいつもの夜みたいに ☆☆

■ 2017年 74分 (名古屋シネマテーク)
■ 監督・撮影・編集 代島治彦
■ 出演 高田渡 中川イサト 中川五郎

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フォーク・シンガー高田渡のドキュメンタリー映画である。

内容は、2005年3月27日に東京で行われた最後の
ミニハウスでの公演と、彼の死を惜しむ友人のインタ
ビューから構成されている。

高田渡は、同年4月3日北海道でのライブ後に倒れ、
16日入院先の病院で死去した。56歳没。

12年後の今年にこの映画が製作された理由を私は
知らないが、映画の撮り方も、録音も、編集も、全体と
してはこれと言って目を引くような出来とは思えない。
ただひたすら高田渡の唄う姿をフィルムに残したいと
いう思いの強さは感じなくもなかった。


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私はなぜこの映画を観たいと思ったのだろう。
彼のしみるような唄声を今もウオークマンでとき
どき聴く私は、懐かしさゆえか、最期のライブを
聴きたいとの思いゆえか。
酒好きの彼の唄をスクリーンで聴くには、こちら
も酒を飲むのが礼儀というものだ。そう思って缶
ビールをひとつあおって映画館へ行った。


さて、高田渡の唄を直接聴いたのは、2000年
12月6日の名古屋・栄・アートピアホールでの
「五つの赤い風船コンサート」でゲストとして登
場し、「夕暮れ」ほか2~3曲を唄った時である。
高田はやや酩酊気味だったが、調子をくずさず
最後まで唄い、会場の人たちも皆ほっとした顔
を見せたのをよく憶えている。

ところで、彼の仲間だった加川良もつい最近の
4月5日に病没した。
良の声質が好きだった私は2006年5月4日
名古屋・今池のライブハウスTokuzuで「教訓
Ⅰ」の熱唱を聴いたことがある。それとても 
過去の1ページとなってしまった。


閑話休題、この映画のことである。
ごく普通のドキュメンタリー映画であることに
がっかりしたかと言うとそうでもない。
高田渡の「風」を唄う姿と声が胸に迫り、ここ
ろのふるえるのを感じたのだ。
観に行ってよかったと思った。


   頭の上を吹く風よ

 
仲間がいま 何をしているのか きかせてくれ
 彼はいま 何を見ているのか
 もうひとりの彼は 何を考えているのか
 遠くの彼は だれと心を通じているのか

 あのひとの目は 何を言おうとしていたのか
 そんな気持ちが唄に 歌えたらな
 そしたら ぼくはぼくに なれるのにな

     「風」より  作曲・イギリス民謡
             作詞・朝倉勇
                         唄・高田渡

高田渡も、加川良も、その唄声は私のなかに
消えることなく残っている。


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映画 台北ストーリー ☆☆☆☆

■ 原題 「青梅竹馬」(幼馴染) Taipei Story
  1985年 台湾 119分 (シネマスコーレ)
■ 監督 エドワード・ヤン(楊徳昌)
■ 製作 ホウ・シャオシェン(侯孝賢)
■ 脚本 チュー・ティエンウェン(朱天文)
       ホウ・シャオシェン
       エドワード・ヤン
■ 撮影 ヤン・ウェイハン(楊渭漢)
■ 音楽 ヨーヨー・マ(友友馬)
■ 出演 ツァイ・チン(蔡琴)
       ホウ・シャオシェン

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エドワード・ヤン監督の長編第2作目作品。

ホウ・シャオシェン監修による4Kデジタル修復版で
2017年5月から待望の日本初公開。
名古屋では、シネマスコーレ劇場での上映である。

少年野球時代の夢想をなおも引きずる布地商の阿隆。
勤める会社が買収され解雇となったキャリアの阿貞。

急速に近代化・都市化が進む台北。
商機に乗れない人々の心理と行動。

変わりゆく街の風景。
すれ違う感情。

監督ヤンの描く人々の姿と風景に
なぜかくも心を揺さぶられるのだろうか。

私たちは
たとえ変わることを選んだとしても
逆に、変わらないことを望んだとしても
現実は、思惑どおりにならない。
そう思い知らされる。

それゆえ戸惑い
打ちひしがれて
現実を受け入れる。

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その姿を共感をもってみずみずしく映し出し
人を追いやる風景の変貌をあざやかに示す
エドワード・ヤンのフィルム。
それは常に、静かで、しかし激しい。



 
  

DVD M ☆☆☆☆

■ 1931年 ドイツ 99分 (Amazon購入)
■ 監督 フリッツ・ラング
■ 原作 エゴン・ヤコブソン
■ 脚本 テア・フォン・ハルボウ
       フリッツ・ラング
■ 撮影 フリッツ・アルノ・ヴァグナー
■ 出演 ペーター・ローレ

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86年前の映画である。
しかし、今の世の中を描いている。
今の人たちの内のある感情を暴いている。


繰り返される幼女誘拐殺人。
捜査に乗り出す警察と、或る「組織」。

殺人者自身も止められない殺害欲求。
被害家族や世間の人々から噴き出す報復感情。

フリッツ・ラングは
シニカルな笑いと
独特の映像感覚
人間の内にある多様な残酷感情を
あざやかに描き切る。

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映画 パーソナル・ショッパー ☆☆

■ PERSONAL SHOPPER 2016年 フランス 105分
             (センチュリーシネマ)
■ 監督 ケネス・ロナーガン
■ 脚本 ケネス・ロナーガン
■ 撮影 ジョディ・リー・ライプス
■ 出演 クリステン・スチュワート

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この映画を観終えてふと思い出した。
私のスポーツ仲間のある女性が語ったことである。

自分は暗い部屋で人影が動くのをよく見る。
それが近づいてくるので避けようとするが身動きできない。
金縛りになったようだった。
そういうことがあるのは自分は霊感が強いからだと思うの。
その人は仲間の皆にそう話した。

皆は半信半疑の表情で首を傾げた。
私も同じだった。
それは錯視ではないのかと疑った。

でも、霊感の強い人は本当に存在するのかも知れない。
この映画の主人公モウリーンのように。

死んだモウリーンの兄。
彼からのサイン。
それを期待して待っていたはずのモウリーンだったが・・・。


どれだけの観客があのような結末を予期したろうか。
あのラストは一体何を意味しているのだろうか。

WOWOW 狼は暗闇の天使 ☆☆☆

■ 原題「SALVO(サルヴォ)」 2013年 イタリア 106分
                         
(劇場未公開 WOWOW放映)
■ 監督 ファビオ・グラッサドニア
       アントニオ・ピアッツァ
■ 脚本 ファビオ・グラッサドニア
       アントニオ・ピアッツア
■  撮影 ダニエーレ・チプリ

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原題のSALVOとは、主人公でマフィアのヒットマンの名。

それを「狼は暗闇の天使」と邦題にしたのは妙訳だ。


それはさておき、
この作品の特徴は映像がとても暗いことだ。
始めはテレビの画面調節のミスかと思ったほどである。

シーンの長さも非ハリウッド的で軽い驚きを覚える。
しかし、徐々に画面から目が離せなくなった。
ストーリー展開の行方がしだいに気になりだす。

組織とどう折り合いをつけるのか。
少女をどうするのか。


全編が音楽を排した現実音だけで展開していく映画
だからこそ際立つ主人公の行動と表情。

観終えて(映画の堪能を味わった)と気づく異色の
作品。一見の価値を十分に備えた映画である。

映画 マンチェスター・バイ・ザ・シー ☆☆☆☆

■ MANCHESTER BY THE SEA 2016年 アメリカ 137分
                  (ミリオン座) 
■ 監督 ケネス・ロナーガン
■ 脚本 ケネス・ロナーガン
■ 撮影 ジョディ・リー・ライプス
■ 音楽 レスリー・バーバー
■ 出演 ケイシー・アフレック
       ルーカス・ヘッジズ
      
ミシェル・ウィリアムズ

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C・アフレックが素晴らしい!






映画 イップ・マン 継承 ☆☆☆

■ 「葉問3」 2015年 中国/香港 105分
        (センチュリーシネマ)
■ 監督 ウィルソン・イップ
■ アクション監督 ユエン・ウーピン
■ 脚本 エドモンド・ウォン
       チェン・タイリ
       ジル・レオン
■ 撮影 ケニー・ツェー
■ 音楽 川井憲次
■ 出演 ドニー・イェン
       マックス・チャン
      

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おそらく、「葉問3部作最終章」ということになるのだろうか。


50歳を少し過ぎたドニー・イェンは、相変わらず切れ
のよいカンフーアクションを見せる。そして妻想いの
人でもある詠春拳の達人を好演している。

この映画の印象はすがすがしい。
登場する悪役たちは非道卑劣な輩たちではなく、己

の肉体で勝負することに固執でもしているのかと思う
くらいある意味フエアな男たちとして描かれている。

マイク・タイソンが演じる不動産屋フランクにしても勝
負のルールは守るし、負ければきっぱり認める。

本当に不動産屋なのだろうかと疑いたくなるような
格闘狂のナイスガイなのだ。

いずれにせよ、葉問の妻ウィンシンの存在がこの映
画では大きい。

この映画がカンフー映画らしからぬ味わい深いラス
トシーンを持ったのもそれを示して興味深い。



神田松之丞ってきいたことある?

講談師神田松之丞はいい!

「歌太郎 松之丞 ふたり会」  5月13日(土) 名古屋栄能楽堂

半年くらい前だろうか。たまさか見たBS12番組「ミッドナイト寄席」
(二つ目の若手だけの番組)で、聴いたのが神田松之丞の講談だった。

正直、ひっくり返った。大声で笑った。話芸の迫力にくぎ付けにもなった。
涙が出るまで笑い、そして語りにぐいぐいと引き込まれ‥だった。
只者ではない。
目に力のある講談師。
ときには涼やかでときには冷酷で、激しく、温和でと目の表情が多彩。
また、汗を飛ばしての熱演ぶりは聴く人が思わず身を乗り出す語り口。
この人の講談を、実際に見たい!聴きたい!と思った。

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(写真は彼のブログ・HPより)

名古屋公演があることを、ほどなくチケットぴあで知った。
それが今回の名古屋栄能楽堂での「ふたり会」だ。
全席自由席だったが、運よく前から2列目の椅子に座れた。

松之丞の演目は「扇の的」と「お紺殺し」。
予想以上の面白さ、カッコよさ、凄味と可笑しみ。

(彼の語り振りは私には文字に出来ず割愛。実際に観て聴くしか仕方なし)
ともかく、堪能した!しびれた!とだけは言っておきたい。

次回の名古屋の見参は、8月11日(金)の大須演芸場だとか。
「旅成金」と銘打って、柳亭小痴楽、瀧川鯉八、神田松之丞の出演で
全席自由席だそうだ。

また松之丞を聴きける!と今からわくわくしている