DVD さすらい ☆☆☆☆

■ IL GRIDO(原題 「叫び」) 1957年 イタリア 102分
                  (TSUTAYA レンタル)
■ 監督 ミケランジェロ・アントニオーニ
■ 脚本 エンニオ・デ・コンチーニ
       エリオ・バルトリーニ
       ミケランジェロ・アントニオーニ
■ 撮影 ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
■ 音楽 ジョヴァンニ・フスコ
■ 出演 スティーヴ・コクラン
       アリダ・ヴァリ
              ドリアン・グレイ
        
ベッツィ・ブレア

1704200.png

北イタリアを東に流れるポー川の流域。

妻となるはずだったイルマから別れを告げられた労働者アルド。
娘とさすらう男の寒々とした姿。

アルドは昔の女からガソリンスタンドの女へ、そして別の若い女へと。
しかし、またさすらいへ。

閉鎖中の工場の鉄塔。
イルマの叫び。

アルドの求めたものは何だったのだろう。
イルマの求めたものは何?

男にとって女とは。

女にとって男とは。
 
アントニオーニが没して10年めの7月がもうすぐ来る。

 

NHK BS 夏の庭 ☆☆☆

■ The Friends 1994年 113分 (NHKBS 放映)
■ 監督 相米慎二
■ 原作 湯本香樹実
■ 脚本 田中陽造
■ 撮影 篠田昇
■ 音楽 セルジオ・アサド
■ 出演 三國連太郎
       坂田直樹 王泰貴 牧野憲一

170409.jpg  

相米慎二監督の才気が随所に光る好編。


トップシーンは、雨の中の少年サッカー試合。
相米流の長回し撮影は、映画の中に観る者を徐々に誘う。

仲良し三人組も悪くはないが、彼らに時々まとわりつくカメラ
小僧が可笑しい。
あのキャラクターは相米慎二の投影かも知れないし、この
映画製作に係わった映画人たち全員のそれかも知れない。

相米映像ワールドのきらめきが眩しい。
たとえば、少年たちが井戸を覗き込むショット。
たとえば、古香弥生(淡島千景)がいっしゅん正気にもどるショット。
たとえば、喜八(三國連太郎)の廃屋を掃除していくショット。
そこには、映画の冒険が確かにあるのだ。



DVD 味園ユニバース ☆☆☆☆

■ 2015年 103分
■ 監督 山下敦弘
■ 脚本 菅野友恵
■ 撮影 高城風太
■ 音楽 池永正二
■ 出演 渋谷すばる
       二階堂ふみ
       康すおん

170504.jpg

主演の二人の存在感が私たちを圧倒する。

山下敦弘の演出は怖いほどに生々しい。

その生々しさの中に
人間という生きもののしぶとさと、哀しみと、
自暴自棄さと、自分を見出す力強さを描いている。

山下敦弘は健在である!



 
 

海上の森 ハルリンドウをさがしに 2017.4.22

暖かい土曜日の昼下がり、あいち海上の森に出かける。

センターの駐車場はほぼ満車。

1台分だけ空いているのみ。そこへ駐車する。

map02.jpg

あいち海上の森センターわきの小径から入る。
                     (14:40)
赤池への道

   吉田川の流れを見ながら歩く。
吉田川01

 「野鳥が営巣中 大声を出さないで」の
 イラスト表示板が設けてある小径
営巣中

        まずは赤池へ。
douhyou.jpg



ヤマザクラの落花が間もなく始まる赤池
カエルの鳴き声が聞こる。
のんびりとその声を楽しみながら佇む。
一羽のカワセミが池面を掠め森の奥に翔んで行った。

赤池

導標の場所まで戻り、屋戸川の方向へ進む。

アオキの花
     アオキの花はチョコレート色

チゴユリ
        チゴユリの白い花

シダ
     春のシダは格別鮮やかだ。
  
 
 そして、ハルリンドウの咲く湿地に着く。
          (16:15)   
ハルリンドウ 春竜胆
   
ハルリンドウ

  帰路はヤマツツジ咲く小径を辿る。
tutuji.jpg

tutuji02.jpg


近郊の山 納古山 633m  2017.4.14

  納古山 633m

・ 2017年4月14日 快晴
・ 山行人数 8名
・ 歩行高低差 約420m
・ 歩行時間 約2時間50分
・ 休憩・休息 1時間10分 

    ① 中級コース入り口 10:25
 すでに数台の車が林道わきのスペースに駐車
 されていた。本日は8人パーティー。私はしんが
 りを行くことに。
noko01_201704232144132a4.jpg

    ② 人工林の続く登山道 
noko02.jpg

  ③ 咲いていたコミヤマカタバミの花
 漢字で小深山酢漿草と書く。後で知った。   
 
noko03_20170423215728aad.jpg

   ④ 階段状の岩塊 11:05
noko04.jpg

  ⑤ 飛騨川や川辺町の家並み
noko045.jpg

    ⑥ 最後の岩塊をよじ登る  11:35
noko05.jpg

  ⑦ 納古山の山頂 11:50
春の空は霞んで遠くの眺望は望めない。
頂上は休憩用の机や椅子があるテラスだった。
noko06.jpg

  ⑧  霞む恵那山
noko07_20170423214222c72.jpg

  ⑨ 木作谷分岐13:35
往路は初級コースを下ること約1時間20分。
noko09.jpg


久しぶりの山歩き。
納古山コースはそのような私にはぴったりだった。


DVD 北ホテル ☆☆☆ 

■ HOTEL DU NORD 1938年 フランス 110分
                (レンタル GEO
■ 監督 マルセル・カルネ
■ 原作 ウージェーヌ・ダビ
■ 脚本 マルセル・カルネ
■ 台詞 アンリ・ジャンソン 
       ジャン・オーランシュ
■ 撮影 アルマン・ティラール
■ 音楽 モーリス・ジョーベール
■ 美術 アレクサンドル・トロネール
■ 出演 ジャン・Pオーモン
       アナベラ
       ルイ・ジューヴェ
       
アルレッティ

170326.jpg

映画でしばしば見られる現象がある。
それは脇役が主役を「喰ってしまう」ことである。

「北ホテル」の主役は、若い男のピエールと恋人の
ルネ。それぞれを演じる二人は当時売り出し中の
若い俳優。

喰ったほうの脇役は、中年男のエドモン(役者はル
イ・ジューヴェ)、娼婦レイモンド(アルレッティ)。

kitahoteru2.jpg

脚本は主・脇を同等に書き込んでいる。
だが、全く違うのは、役者の存在感の大きさ。

伝わってくる役者の「厚み」が違う。
「人生を感じさせる厚み」と言っても、大げさではないだろう。

その厚みが、この作品に陰影深い味わいを与えるのだ。

thBC4ZENTU.jpg

それに加えて
運河のセットの素晴らしさ。
洒落た演出。
ホテルに集う庶民を演じる役者連中のうまさ。


ああ、フランス映画はいいなぁ。
しみじみとそう思わせるカルネの映画の愉しさよ。

  

映画 ゴースト・イン・ザ・シェル ☆☆☆

■ GHOST IN THE SHELL 2017年 アメリカ 120分
              (ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督 ルパート・サンダーズ
■ 原作 士郎正宗
■ 脚本 ジェイミー・モス
       ウィリアム・ウィーラー
       アーレン・クルーガー
■ 撮影 ジェス・ホール
■ 音楽 クリント・マンセル
       ローン・バルフェ
■ 出演 スカーレット・ヨハンソン
       ビートたけし
       ジュリエット・ビノシュ

170415.jpg

俳優S・スカーレットの独特な無機質的表情。
それは、心と義体を括り付けたこの映画の主人公
にぴったり。


場所は、高層ビルの森のような無国籍未来都市。
時は、電脳ネットワークと義体化が極度に進む社会。

それは、リドリー・スコットが「ブレードランナー」(82年)
で既に描いた世界のはずである。

それでも、この映画は観る者をひき付ける。
なぜなのだろう。


どこまでゆくのか判らない高度な医療技術の進歩。
脳と心臓と、それ以外の肉体の損傷度のアンバランス。

真実も嘘もないまぜの電気仕掛けのネットワーク。
何かに操られているのか、操る者に知らない間に加担しているのか、
本当のことがワカラナイ。
今はもう始まっているからなのか。


それとも、繰り広げられるアクションが面白いからなのか。
作り込まれた近未来都市や人間の姿が斬新なせいなのか。

それらの全部が観る者の興味をとらえるからなのだろう。

      
 

映画 お嬢さん ☆☆

■ 「THE HANDMAIDEN (侍女)」 2016年 韓国 145分
               (センチュリーシネマ)          
■ 監督 パク・チャヌク
■ 原作 サラ・ウォーターズ「荊の城」
■ 脚本 パク・チャヌク
       チョン・ソギョン
■ 撮影 チョン・ジョンフン
■ 美術 リュ・ソンヒ
■ 音楽 キム・ヨンウク
■ 出演 キム・ミニ
       キム・テリ
       ハ・ジョンウ
       チョ・ジヌン

170403.jpg

この映画の見どころは何なのだろう。

極限の騙し合い?
美意識あふれる性愛描写?

確かに凝った話の構成である。
豪華なセット美術もよくぞここまで作り込んだ
と思わせるのに十分だ。

しかし、映画はいっこうに弾まない。

主要な四人の登場人物に肉体がまるで感じられ
ず、筋立てをなぞり決められたセリフを発する人
形のような演技だった。

まず、ミス・キャストが原因ではないか。

侍女は狡猾でぞっとする内面の凄さが必要なのだが
演じるキム・テリは童顔で清純な顔立ち。

お嬢様は楚々としながら強い被虐性が不可欠なのに
キム・ミニは精神も肉体も狂乱できず中途半端。

詐欺師のハ・ジョンウは非情さのカケラもなく、間の抜
けたような言動に終始し、叔父のチョ・ジヌンの残忍さ
は女に対して発揮せず詐欺師をいたぶるにとどまる。

常軌を超えた人々の世界を描く映画はずなのに、空転
している。壮大なセットも卑猥なセリフも虚しく感じられ
る。

この手の映画(快楽の世界に逆らえずのめり込んでいく
人間を描く映画)は、お膳立てをするだけではダメだのだ。

俳優の肉体を輝かせるために、演出者と演技者がぎりぎ
りと組み合うことが大切なのではないか。めらめらと燃え
上がるような共闘がもっともっと必要だったのではないか。

性愛を描いた往時の日活ロマンポルノの名作群を見よ。
たとえば監督小沼勝、主演谷ナオミの映画。
淫猥な匂いの何と濃厚なことか。
恍惚の表情の何と魅惑的なことか。

パク・チャヌク監督の次回作に期待しよう。

映画 この世界の片隅に ☆☆☆

■ 2016年 126分 (センチュリーシネマ)
■ 監督 片淵須直
■ 原作 こうの史代
■ 脚本 片淵須直
■ 作画監督 松原秀典
■ 撮影監督 熊澤祐哉
■ 画面構成 浦谷千恵
■ 音楽 コトリンゴ

 
170328.jpg


ブラインド・マッサージ ☆☆☆☆

■  推拿 2014年 中国/フランス 115分 (名古屋シネマテーク)
■ 監督 ロウ・イエ
■ 原作 ビー・フェイユ
■ 脚本 マー・インリー
■ 撮影 ツアン・チアン
■ 音楽 ヨハン・ヨハンソン
■ 出演 ホアン・シュエン
       チン・ハオ
       グオ・シャオトン
       メイ・ティン

170324.jpg

光を見る目 闇を見る目

ツアン・チアンの撮影が素晴らしい。
盲人が捉える周りの気配や、微かな風景のかたち
はこのような見え方をするのだろうかと思わせる。
さらに、男女の身体の手触り、息づかい、声までも
映像として見せてくれる。
 
ヨハンソンの音楽が素晴らしい。

彼らの心情、風のそよぎ、やさしい雨の音、南京の
町を奏でるような音楽だ。

ロウ・イエの映画は、どうして観る者の心を強くゆさ
ぶるのだろう。ときにはげしく、ときにしずかに。
そして
観客それぞれの体のなかに何かをのこしていく。