映画 灼熱 ☆☆☆

■ ZVIZDAN 2015年 クロアチア/スロヴェニア/セルビア 123分
                          (名演小劇場)
■ 監督 ダリボル・マタニッチ
■ 脚本 ダリボル・マタニッチ
■ 撮影 マルコ・ブルダル
■ 音楽 アレン・シンカウズ
       ネナド・シンカウズ

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クロアチア人とセルビア人の対立の悲劇。

人々の不安定な感情を象徴するかのような
カメラワークが素晴らしく、緊張感を湛えた
演出も鋭い。



ただ、アジアの極東の国に住む私にとっては
旧ユーゴスラビア紛争の予備知識が乏しい
せいもあって、かなり難解な映画だった。

紛争の経緯についての説明はなく、3つの時
代に登場する男女を同じ俳優で異なる人物を
演じさせる手法を用いているため、内容の理
解に苦しむ。

特に、2011年を描いた青年の両親の過去が全く
描かれない。
しかし、二人には決定的な傷痕を残した出来事が
あったはずなのだ。


欧州に暮らす観客にはあれで分かるのかしらん。
そうでない地域に住む海外の観客には、最小限
の手引きを配慮してほしかったと思う。

奥歯に物が挟まったような、勿体ない印象が残った。
惜しい作品だ。



DVD 沈黙は金 ☆☆☆☆

■ LE SILENCE EST D'OR  1946年 フランス 99分
                (レンタルGEO)
■ 監督 ルネ・クレール
■ 脚本 ルネ・クレール
■ 撮影 アルマン・ティラール
■ 音楽 ジョルジュ・ヴァン・パリス
■ 出演 モーリス・シュヴァリエ 
       フランソワ・ペリエ
       ダニー・ロバン
       マルセル・デリアン

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全編が洒落たフランス喜劇の楽しさにあふれている。


美しい映像、セリフの妙、味わい深い役者たちの演技。
とりわけ、モーリス・シュヴァリエが演じる撮影所長兼
監督エミールの粋な計らいやユーモアが素晴らしい。

ルネ・クレール映画は
いつも観る人を
幸福な気持ちにしてくれる。



華麗なるリベンジ ☆☆☆

■  原題「暴力検事」2015年 韓国 126分
         (センチュリーシネマ)
■ 監督 イ・イルヒョン
■ 脚本 イ・イルヒョン
■ 撮影 チェ・チャンミン
■ 音楽 ファン・サンジュン
■ 出演 ファン・ジョンミン カン・ドンウォン

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「群盗」で助監督だったイ・イルヒョンの監督デビュー作。
そして、お気に入りの俳優ジョンミンとドンウォンが主演。
期待して観た。

歯切れのよい演出と、ジョンミンの味のある演技が愉しめる。
しかし、脚本が粗く、細部の辻褄には?!が目立つのが惜しい。
次回作に期待したい。
ついでながら、邦題名に苦言を呈したい。
日本の配給会社のセンスのない付題のせいで
映画を観る前の観客の楽しみを奪ってしまう。
その罪は小さくない。


映画 PK ☆☆☆

■ PK 2014年 インド 153分
                  (センチュリーシネマ)
■ 監督 ラージクマール・ヒラニ
■ 脚本 
 ラージクマール・ヒラニ アブヒアット・ジョシ
■ 撮影 C・K・ムラリーダラン
■ 音楽 アトゥル・ゴガヴァル  
■ 出演 アーミル・カーン  アヌシュカ・シャルマ



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歌あり、踊りあり、恋愛あり、人間愛ありのインド娯楽映画。



インドで神を風刺的に扱った映画は、管見によれば珍しいと思う。




物の本を読むと、インドの宗教はヒンドゥー教徒が8割を占め、イ

スラム教が1割超、以下キリスト教、シク教、仏教と続くとあった。


ついでながら、日本では、問われて信仰する宗教を持っていると

答える人は2~3割程度で神道、仏教が圧倒的に多いとか。


そんなインドで宗教を風刺するのだから、これはフィクションだと冒

頭で断り書きをインポーズし、娯楽作品にしたのだろう。


自分の薄い信仰心について、考える機会を与えられる映画だった。

でも、主人公PKの出自の設定や行動、話の展開は月並みなので

150分は些か私には忍耐が必要だった。


干し柿できた! 手帳スケッチ

手帳スケッチ日記  2016.11.20 





     干し柿できた! (万年筆画)

     
161120 干し柿 600×

        ( 万年筆カクノ 色鉛筆 )


 干して約2週間。
 試食してみる。

 (いける!)
 硬さも、甘みも、ちょうど良い。


11月9日月曜日から今日20日まで14日間。
晴れが10日。
曇りが2日。
曇りのち雨が1日。
雨が1日。


愛知県は11月10日に12月下旬並みの寒気が入った。
(好天と寒気のおかげで、2週間で出来上がったのか)

家庭菜園をしたことがない私なので
干し柿づくりだけが
植物の成長を観察する小学生のような気分で
果物の変化を見守る唯一無二の体験なのだ。


甘い干果物は保存袋4つに分けられて
いま、冷蔵庫で出番を待っている。

  

卓球シューズ 手帳スケッチ

手帳スケッチ日記   2016.11.18


  愛用の卓球シューズ (万年筆画)


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(A6無地手帳 ふでDEまんねん 水彩絵具)



ミズノ社のシューズ。軽量で動きやすい。

週に1回~3回(1回約3時間)の練習に使用。

使い出してから1年5か月になる。





映画 手紙は憶えている ☆☆☆

■ REMEMBER 2015年 カナダ/ドイツ  95分
        (TOHOシネマズ名古屋ベイシティ)

■ 監督 アトム・エゴヤン
■ 脚本 ベンジャミン・オーガスト
■ 撮影 ポール・サロッシー
■ 音楽 マイケル・ダナ
■ 出演 クリストファー・プラマー
       マーティン・ランドー
       ディーン・ノリス
       ブルーノ・ガンツ

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アウシュヴィッツの犯罪責任者を探す老人の話。

脚本が巧みで
四人の容疑者の真偽
認知症で薄れゆく記憶
家族の捜索
決着の方法
の4点が絡み合ってサスペンスを高めている。

役者の顔ぶれも愉しめる。

映画「サウンド・オブ・ミュージック」のC・プラマー。
テレビドラマ「スパイ大作戦」のM・ランドー。
テレビドラマ「ブレイキング・バッド」のD・ノリス。
映画「ベルリン・天使の詩」のB・ガンツ。

異色の復讐譚とでもいうべき作品だった。



   
  

紅葉のタカドヤ湿地

紅葉まっ盛り 豊田市タカドヤ湿地(標高859m) 11月15日

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名古屋友禅 手帳スケッチ

手帳スケッチ日記    2016.11.11

型染め名古屋友禅工場

家から歩いて5分ほどのところに黒川(堀った川)が流れている。
小学生のころ近所の仲間とよく遊んだ場所だ。

その界隈をボランティアの人に案内してもらう行事が開かれた。
やっとかめ文化祭・歴史まち歩き6・御用水 黒川」である。

見学参加者は25人。私もその中の一人。
2時間半ほどかけてボランティアさんの説明を聴きながら歩いた。

黒川の歴史、橋の由来、御用水の跡、羊神社、黒川樋門など
なかなか興味深い。



見学でいちばん印象に残ったのは、黒川のほとりにある型染め名
古屋友禅の「渡辺染工場」だ。 
 
北区内で友禅染をしているとの話は聞いたことはあるが、実際に
見るのは初めてのことだ。

工場主であり職人の渡辺さん。
伊勢型紙の使い方を実演しながら説明してくれた。
 

 
     
渡辺染工場01




片方の手で型紙を押さえながら刷毛を動かしていく。
渡辺さんの手の指はとても長かった。
そして、サウスポーでもあった。

渡辺染工場03


刷毛は鹿の長い毛を、幅広の白いテープで束ねたもので
渡辺さん自らが作ったものだと云う。

材料の鹿毛は、建中寺のある筒井町商店街の老舗で調
達するのだそうだ。

手製の刷毛は、正面の棚の6段に6~9個ずつで約50本。
横の棚にその2倍ほどがあり、奥の方の棚にもそれ位ある。
ざっと数えても250本はある勘定になる。

工場内は薄暗く、年季が入った作業場といった雰囲気がある。

渡辺染工場も、「こうじょう」でなく、きっと「こうば」と読ませる
に違いない、と思った。


渡辺染工場02A



渡辺さんの友禅は、今でも桜の咲くころに黒川の流れで
「のり落とし」、いわゆる「友禅流し」をしているそうだ。

次の春には、ぜひそれを見なくっちゃ!


蘊蓄】
「黒川」と呼ぶのは、川の水が黒い、というからではない。
人名から採った川の名である。

明治時代に庄内川と堀川をつなぐ工事が行われた。
それを主導した技師が黒川治愿(くろかわはるよし)だった。

人の名を川に付けることは珍しいことではないが、
県の担当官吏の名を付すのはざらにあることではない。

彼の貢献があってこそ、この開鑿工事が成ったことだけは
事実なのだろう。


干し柿つくり

今年のつるし柿

団地の5階のベランダに今年も柿をつるしている。
今日から尾張地方にも寒気が入り、皮をむかれた
渋柿たちは、いま乾いた冷たい風に吹かれている。

大きい方は「富士」という種類。
26個ある。

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小さい方は「市田」。
44個だ。

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今日はつるして3日目で、このころの
実の色は輝くような飴色。甘く変わる
前に見せるいちばん美しいときだ。

さて、甘い干し柿に変わっていって
くれるだろうか。


DVD マンハッタンの二人の男 ☆☆☆☆

■ DEUX HOMMES DANS MANHATTAN 
   1958年 フランス 84分 (レンタル・GEO)

■ 監督 ジャン=ピエール・メルヴィル
■ 脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
■ 撮影 ジャン=ピエール・メルヴィル
       二コラ・エイエ
■ 音楽 クリスチャン・シュヴァリエ
       マルシャル・ソラル
■ 出演 ピエール・グラッセ
       ジャン=ピエール・メルヴィル

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ニューヨークの国連本会議に出席するはずの
フランス代表が来ない。なぜ!?

フランス通信社のモロー(ジャン=ピエール・メルヴィル)
は、キャメラマンのデルマス(ピエール・グラッセ)と二人
で彼の行方を調査する。

男を追うなら女を探せ。浮かんだ3人の女から事情を
聴き出すために、二人は夜のマンハッタンに車を走ら
せる。

脚本、撮影、主演、演出をやってのけるメルヴィル41歳。

メルヴィルの愛嬌ある顔が、酒場で、楽屋で、車中で、路
地で、陰影の濃い表情を見せて、とても魅力的だ。


くゆる煙草の煙、交錯するヘッドライト、ジャズの演奏が
物語に深みを与えるとともに、サスペンスを盛り立てる。

代表が出席しなかった理由が明らかになる時、二人の
男のそれぞれの思いがぶつかり合うという展開も心憎
く、男の世界を描くメルヴィルの傑作の一つだと思う。



DVD 海の沈黙 ☆☆☆☆☆

■  LE SILENCE DE LA MER 1947年 フランス 86分
                             (レンタル・GEO)
■ 監督 ジャン=ピエール・メルヴィル
■ 原作 ヴェルコール
■ 脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
■ 撮影 アンリ・ドカエ
■ 音楽 エドガー・ビショフ
■ 出演 ハワード・ヴェルノン
       ニコール・ステファーヌ
       ジャン=マリー・ロバン

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いぬ」「影の軍隊」のジャン=ピエール・メルヴィル
の処女作。

製作年1947年。
日本公開は2010年。
レンタルショップの店頭には2015年に。


フランス人のドイツ人に対するレジスタンス。

ドイツ将校に海のような沈黙で応える叔父と姪。
フランスを愛し干犯に疑問を持つドイツ将校の悲愴。


アンリ・ドカエの陰影の濃いカメラ。
メルヴィルの端正な演出。


胸の底に深銘を与えるメルヴィルの傑作!



DVD ションベン・ラーダー ☆☆☆☆

■ 1983年 118分
                               (レンタル・GEO)
■ 監督 相米慎二
■ 原案 レナード・シュレイダー
■ 脚本 西岡琢也
       チエコ・シュレイダー

■ 撮影 田村正毅
       伊藤明裕
■ 音楽 星勝
■ 出演 河合美智子
       長瀬正敏
       坂上忍

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相米慎二が描く思春期の冒険奇譚の輝き!


中学生3人組の夏。

稚気と狂気と高揚感がヒリヒリと伝わってくる。



相米慎二独特の長回しは、若者だけが持つ動き
の美しさをとらえ、羨望感いや嫉妬さえ感じさせる。

横浜の運河で3人が戯れるシーンの演出。
名古屋の材木置き場での追いつ追われつの活劇。
廃船内での容赦のない殴り合い などなど。


相米でなくては描けない映画が確かに此処にある。

  

DVD 幽霊西へ行く ☆☆☆☆

■ THE GHOST GOES WEST 1935年 イギリス 85分
                  (レンタル・GEO)
■ 監督 ルネ・クレール
■ 原作 エリック・コウン
■ 脚本 ロバート・シャーウッド
■ 撮影 ハロルド・ロッソン
■ 音楽 ミュア・マシースン
       ミシャ・スポリアンスキー
■ 出演 ロバート・ドーナット
       ジーン・パーカー
      ユージン・パレット 

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掛け値なしに幸せな気分にしてくれる映画。

「お話」の面白さに、洒落たセリフを加え、文化の
違いや思惑の勘違いを上手く生かした脚本。

芸達者な役者の演技。
幻想的な美しい映像。
ユーモアあふれる音楽の使い方。

ルネ・クレールが残した上質のコメディ映画だ。
この作品を淀川長治氏は絶賛したが、さもありなん。