DVD 小原庄助さん ☆☆☆☆

■ 1949年 東宝 97分
■ 監督 清水宏
■ 脚本 清水宏 岸松雄
■ 撮影 鈴木博
■ 音楽 古関裕而
■ 助監督 内川清一郎
■ 出演 大河内伝次郎 飯田蝶子
       
風見章子 

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民謡「会津磐梯山」に歌われる創作の人物を
下敷きに、旧家の主人杉本佐平太という主人
公として登場させるユニークな映画だ。

旧家の佇まいを長回しのワンカットで見せる技
法や、ぐうたら故に魅力を放つ佐平太なる人物
を創造した清水宏の力量に目を奪われた。

旧家の没落の悲哀や、登場人物たちの好意や
身勝手さを、巧まざるユーモアを醸す演出で魅
了する清水宏とはどんな監督だったのだろうか。

興味を惹かれる監督だ。
ほかの作品も観たい。



「長新太の脳内地図展」 刈谷市美術館 

 8月27日(土)

むかしから、長新太のえほんは大好きだ。
長さんの脳内地図原画展がやっと
刈谷市
の美術館
に巡回して来た。

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原画でも、えほんと同じ絵のはず。
原画で見ても大差はないのでは、そう思っていた。

でも、その予断は、完全に、間違っていた。


原画で見るのではない。
原画を見るのだ。

長さんの筆致の、何と細やかなこと!
原画は大きく、伝わってくる迫力が違う!


特に面白かったのは、絵巻えほん「びっくり水族館」。
原画の長さが、3.3メートル。
細やかで、大胆で、面白い!
ずーっと見ていても飽きなかった。



帰りに、美術館の隣にある茶室佐喜知庵
お茶を頂いた。

お菓子は、キャベツくんシリーズのキャベツくん。
なかなかよくできていた。

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映画 サラへの歩き方 祈りの2400㎞ ☆☆☆☆

■ 2015年 中国 118分
■ 監督 チャン・ヤン
■ 脚本 チャン・ヤン
■ 
撮影 グオ・ダーミン

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ロード・ムービーの傑作!

チベットの聖地ラサへの五体投地による巡礼。

それは、誕生と死、祈りのための長い長い旅路。

幸福な誕生。
幸福な死‐鳥葬。
生活に根付いた幸福な信仰。

観る者に清新な風を運んでくれるフィルム。


映画 トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 ☆☆☆☆ 

■ TRUMBO 2015年 アメリカ 124分 (センチュリーシネマ)
■ 監督 ジェイ・ローチ
■ 原作 ブルース・クック
■ 脚本 ジョン・マクナマラ
■ 撮影 ジム・デノールト
■ 音楽 セオドア・シャピロ
■ 出演 ブライアン・クランストン

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この腐った時代を断ち切りたい。
自由を取り戻すぞ!

若いころに観た映画「ジョニーは戦場へ行った」
の監督として記憶していたダルトン・トランボ。

赤狩りに遭った一人だとは知ってはいたが、この
映画を観ると、驚くほど多くの人々が「健全なアメ
リカを守る」という名のもとに、言われなき迫害を
受けていたことがよく分かる。

正論のように思える一方的な主張にいかに抗しうるか。
家族や仕事を手放してまで正義を貫けるのか。

独特のユーモアを持つトランボを演じたB・クライストン
がとてもいい。
TVシリーズの「ブレイキング・バッド」で主役を怪演して
いた俳優だが、「トランボ」では全く異なる役柄を印象強
く好演している。


DVD 原爆の子 ☆☆☆☆

■ 1952年 100分 初公開日 1952/08/06
■ 監督 新藤兼人
■ 製作 吉村公三郎 山田典吾
■ 脚本 新藤兼人
■ 撮影 伊藤武夫
■ 美術 丸茂孝
■ 音楽 伊福部昭
■ 出演 音羽信子 滝沢修

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1945年8月6日。
投下された原子爆弾が広島の上空で炸裂した。

その数日後、新藤兼人は故郷の広島に行った。
そして、町を見た。

「あの美しい町が、木っ端みじんに吹き飛んでいた。
日本家屋は一軒もない。駅前から焼け跡を通して
海まで見える。ふぬけのようになって、焼け跡で立
ち尽くしていました」(新藤の言葉)

市井の暮らしは一変し、広島は焦土と化したのだった。

「僕は広島出身だから、ヒロシマの話をやりたかった。
大映の重役が『まだアメリカの占領の最中だぞ!原爆
を誰が落としたと思ってるんだ。アメリカに対して直ちに
反抗的なものを作るなんてとんでもない』とわめいた」
                               (同)

自主製作を決心した新藤は、占領が解けた1952年に
原爆に晒された人間の悲惨を世界で最初に長編映画と
して発表した。

広島で49日間撮影して、8月6日に広島の百貨店の6階
にある映画館で上映した。扉が閉らないほど人が押しか
けたという。

新藤の静かだが、滾るような怒りが感じられる映像。
滝沢修が演じる岩吉老人の姿と行動を見よ。
ロケで写しだされる傷痕が残る広島の町を見よ。

今年は投下後71年で、映画発表から64年。
新藤の残した映画を観る私たちは、過去と現在、そして
その先について考える。


 

DVD 戦争のない20日間 ☆☆☆☆

■ DVADTSAT DNEY BEZ VOYNY 1976年 ソ連 97分
■ 監督 アレクセイ・ゲルマン
■ 脚本 コンスタンチン・シーモノフ
■ 撮影 ワレーリー・フェドーソフ
■ 音楽 V・ラヴロフ

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対ドイツとの長い戦争。
ロパーチン少佐の20日間の休暇。

タシケントに向かう夜行列車。
車内で話す人たちも
停車場で動く人たちも
重く暗い表情。

海岸線では機銃掃射。
運悪く死ぬ兵士。
当たり前のように助かる兵士。

遠くでの爆音。
真近に落ちる爆弾。
ここでも、運悪く死ぬ兵士。
生き残る兵士。

ひとときの感傷。
感傷を吹き消す村のぬかるみ。

戦時下での人々の行動を、監督ゲルマン
は終始暗いまなざしでリアルに活写する。

BD (CRITERION社製)  蜘蛛巣城 ☆☆☆☆☆

■ 1957年 日本 110分
■ 監督 黒澤明
 
■ 原作 ウイリアム・シェイクスピア『マクベス』
■ 脚本 小国英雄 橋本忍
       菊島隆三 黒澤明
■ 撮影 中井朝一
■ 美術 村木与四郎
■ 音楽 佐藤勝
■ 出演 三船敏郎 山田五十鈴 


2016-08-03 (12)

黒澤明の「蜘蛛巣城」は細密華麗な映像作品だった。

CRITERION社(北米版)の最新高画質技術によって
デジタル・リマスターされた「蜘蛛巣城」。

(世界向けタイトルは 『THRONE OF BLOOD  血の王権』)


特に素晴らしいのはつぎの二点だ。

村木与四郎の手になる映画美術の美しさ。
浅茅役の山田五十鈴の凝結した狂乱の演技。

約60年ほど前の作品であるが、日本映画の質の高さに
改めて目を見張る思いがする。

そのような再発見できたのも、このデジタル・リマスター版
のおかげであるに他ならない。

さらに、今後繰り返し観るたびに、新しい発見が可能だろう。
そんな期待感を抱かせるブルーレイディスク。

ただし本当を云えば、これを映画館で観たかったな、と思う。

ついでながら、「用心棒」「椿三十郎」の同社製ディス
クも、同様にすばらしい出来だった。


DVD 道中の点検 ☆☆☆☆

■ TROVERNA NA DOROGAKH 1971年 ソ連 97分
■ 監督 アレクセイ・ゲルマン
■ 
原作 ユーリ・ゲルマン 
■ 脚本 エドゥアルド・ヴォロダルスキー
■ 撮影 
L・コルガノフ
■ 音楽 ロラン・ブイコフ

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ソ連当局が15年間公開を許可しなかったという
ゲルマン監督の長編デビュー作。


第二次世界大戦下のソ連パルチザン部隊とドイ
ツ軍との局地戦。

荒涼とした雪原を徒歩する兵士。
苦し気に吐き出される白い息。

敵の車両と軍服を奪うための襲撃。
死と生とが紙一重。

襲撃の連射音。
生々しく流れる血。

一度は祖国を裏切った男の苦しみと、極寒で
戦うパルチザンたちの現実の細部を徹底して
描いた鮮烈なデビュー作である。