DVD 街角/桃色の店 ☆☆☆☆ 

■ 原題  THE SHOP AROUND THE CORNER
   1940年 アメリカ 97分
■ 監督 エルンスト・ルビッチ
■ 原作 ニコラウス・ラズロ
■ 脚本 サムソン・ラファエルソン
■ 撮影 ウィリアム・H・ダニエルズ
■ 音楽 ウェルナー・リヒャルト・ハイマン
■ 出演 ジェームズ・スチュワート
      
マーガレット・サラヴァン

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仕事と恋をめぐる洒落たコメディのお手本のような映画。

巧みな脚本でセリフが上手く、演じるJ・スチュアートとM・
サラヴァンのお互いが頑固な表情が魅力的だ。

映画を観た往時の観客はきっと幸せな気持ちで映画館を
後にしたにちがいない。

DVDながら観終えた私も幸せな気分に浸っている。
それにしても、1930年~40年代のアメリカ映画のこの豊
かさはどうだ。





    
   

DVD 夜の人々 ☆☆☆☆

■ 原題「THEY LIVE BY NIGHT」 1948年 アメリカ 98分
■ 監督 ニコラス・レイ
■ 原作 エドワード・アンダーソン
■ 脚本 チャールズ・シュニー
■ 撮影 ジョージ・E・ディスカント
■ 
出演 ファーリー・グレンジャー  キャシー・オドネル

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監督第1作目だとは信じられないニコラス・レイの円熟。
俯瞰の移動撮影、省略を巧みに使った演出が新鮮だ。

先の暗い逃避行を描いた映画といえば「俺たちに明日
はない」(67年)を思い浮かべるが、それに先んじるこ

と、約20年前に「夜の人々」は作られたという驚き。
犯罪の報いの足音が近づくさまを、モノクローム画面の

暗さが象徴しているような作品だった。





映画 緑の光線 ☆☆☆☆☆

■ LE RAYON VERT 1985年 フランス 98分
               (名古屋シネマテーク)  
■ 監督 エリック・ロメール
■ 脚本 エリック・ロメール
■ 撮影 ソフィー・マンティニュー
■ 音楽 ジャン・ルイ・ヴァレロ
■ 主演 マリー・リヴィエール

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なんとみずみずしい映画なのだろう。

年頃の女の子デルフィーヌの視点からナイ―ヴに
描いたひと夏の出来事。

息をつめるようにして待った夕陽が沈む一瞬。
その光景は忘れられない夏の記憶となるだろう。


小野川の船頭さん

    千葉の佐原 小野川の舟めぐり

          女の船頭さん

 佐原011 サイズ800

 明るい人柄で、「嵐」のコンサートでナゴヤドームに
 行ったときの愉快な話をしてくれました。  


映画 葛城事件 ☆☆☆☆

■ 2016年 120分 (センチュリーシネマ )
■ 監督 赤堀雅秋
■ 脚本 赤堀雅秋
■ 撮影 月永雄太
■ 
録音 菊池信之
■ 出演 三浦友和  南果歩
       新井浩文  若葉竜也  田中麗奈

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葛城家の人たちは、私にとっては他人だけれど
葛城の家で起きた(起こした)事は、他人事とは
思えない。

父親の清が持つ余りにも強すぎる家父長意識。
あるいは、理想への独走と家族への威圧。
母親の伸子が見せる衝突を避けるための従順。
その果ての精神の消耗。

保の日和見的ともいえる穏健で非冒険的な生き方。
弟の稔が抱く他者に対するコンプレックスと憎しみ。

自分の家族を放棄したのに、他人と家族を作ろうと
あがく星野順子の偽善とエゴに支えられた正義感。


彼らだけでない、だれの内にも在る得体の知れな
い憎しみと哀しみともどかしさ、そして不気味さ。

監督赤堀は人間の現実を、2時間のドラマに鮮やか
に描く。

鮮やかさは人物の描写だけではない。
ショットの鮮やさも、である。たとえば、

保が金物店の店番座席から外を見るショット
(父親はこのような風景を毎日まいにち見ていたのか‥)

稔が歩行者たちを無差別に刺す戦慄のショット
(突発の殺傷に人はかくも身動きでないのだ‥)

現実に6月21日釧路市内のモールでも発生。
「でも」と書いたが、この映画が現実を描いている
ことに他ならないからだ。
その痛々しいまでのリアリティの有様。

三浦、南、新井、若葉、田中が好演。ほかの脇役の
俳優たちも素晴らしい。

今年の日本映画の大きな収穫となる映画。
必見!

映画 ヤンヤン 夏の想い出 ☆☆☆☆

■ A ONE AND A TWO 2000年 台湾/日本 173分
                       (シネマスコーレ) 
■ 監督 楊德昌(エドワード・ヤン)
■ 脚本 楊德昌
■ 撮影 楊渭漢
■ 編集 陳博文

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登場するすべての人たち-赤ん坊、少年、
少女、乙女、青年、父親、母親、夫婦、恋

人、友人、親戚縁者、祖父、祖母、など。
年齢や世代をこえて、等しく内にあるもの

をナイーブに描き、3時間に近い上映時間
をすこしも長いと感じさせない。

人生のなかで出逢う事柄を静かに描き切る
楊德昌遺作。見事な傑作!


映画 団地 ☆☆

■  2015年 103分 (ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督・脚本 阪本順治
■ 
撮影 大塚亮
■ 音楽 安川午朗
■ 出演 藤山直美 岸部一徳
       石橋蓮司 斎藤工

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達者な俳優たちによって演じられる
団地での出来事。

伝言ゲーム的に拡散する他人の噂。
マスコミを煽る住民のおせっかい。

もはや日常となった交通事故死の悲嘆。
家族の虐待と報復への衝動。

人には言えないそれぞれの事情。
漢方薬と肉体の神秘。

雑多な日常茶飯事を笑いと悲しみの
ギリギリを描く坂本ワールド。

しかし、あれの登場はアンフェアではないか。
唖然で呆然。

「どついたるねん」「顔」「大鹿村騒動記
の阪本順治はどこへ行ったのだろうか。

映画  マイケル・ムーアの世界戦略のススメ ☆☆

■ WHERE TO INVADE NEXT 2015年 アメリカ 119分
                        (ミリオン座)
■ 監督・脚本 マイケル・ムーア

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マイケル・ムーア流の鋭い舌鋒、皮肉が感じ
られず物足りなさを覚える映画だ。

本気でインタビューしているとは思えない。
訪問国の社会施策に対する称賛、羨望が先

行し、いかにしてそれが実現したかへの探求
に欠ける。

楽天的なムーアではいけない。
もっと、突っ込め。がんばれ!ムーア。


映画 台湾新電影時代 

 FLOWERS OF TAIPEI : TAIWAN NEW CINEMA
  2014年 台湾 109分 (名古屋シネマスコーレ) 

■ 監督 シエ・チンリン
■ 出演 ホウ・シャオシェン(侯孝賢)  ツァイ・ミンリャン(蔡明亮)
       ジャ・ジャンク―(賈樟柯)   黒沢清   是枝裕和  佐藤忠男
       浅野忠信 ワン・ビン(王兵)  ティエン・チュアンチュアン
       (田壮壮) ほか

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80年代から90年代にかけて台湾の若手映画監督たちが
新しい映画運動を起こした。台湾ニューシネマと呼ばれた。

「台湾新電影時代」は彼らの映画の意義や影響についての
インタビュー映画である。

50人余の映画人の個人的な感想、受けた影響が語られる。
日本の黒沢清は、一見ありふれた風景をリアルでドラマチッ

クな映像にする手腕に感心したと述べ、是枝裕和は自分が
作りたい映画はこれだと発見した、と語る。

私にとって台湾ニューウエーヴ映画の大きな魅力の一つは
時代の影響下で生きる人たちをみずみずしく等身大で描い

ている点だ。
また、長回しの撮影法、大胆な構図、人物の表情のとらえ方

など多彩な実験的な映像も台湾映画の魅力だ。
さらに、日本が統治した台湾の政治状況、本省人と外省人と

の反目など、映画を通して台湾の近代史への関心を喚起し
理解を深めさせてくれる。

これからも機会を得れば、わたしは台湾ニューシネマを観たい。



映画 さざなみ ☆☆☆

■ 45 YERS 2015年 イギリス 95分 (ミリオン座) 
■ 監督・脚本 アンドリュー・ヘイ
■ 原作 デヴィッド・コンスタンティン
■ 撮影 ロル・クロウリー
■ 出演 シャーロット・ランプリング  
       トム・コートネイ

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ラストシーンのランプリングの表情
その語るもの。

コートネイをして
ランプリングをして

映像化が可能な
夫婦の45年。

希望とも 絶望とも
つかぬランプリングの表情。

流れるエンドロールに重なって
微かに聴こえてくる川面を吹く風音。

それは 45年間 吹き続けた風。
これからも 二人の間に吹く風なのだろう。