映画 パリ3区の遺産相続人 ☆☆☆
■ MY OLD LADY 2014年 アメリカ/イギリス/フランス 107分
(センチュリーシネマ)
■ 原作・脚本・監督 イスラエル・ホロヴィッツ
■ 撮影 ミッシェル・アマテュー
■ 音楽 マーク・オートン
■ 出演 ケヴィン・クライン マギー・スミス
クリスティン・スコット・トーマス

邦題からは謎めいたストーリーのような印象を
受けるが、最初のシークエンスが始まるとコミ
カルな内容だと知れる。
しかし、ところがどっこいの内容であった。
(未見の人のためこれ以上は書かない)
監督は製作の2014年時点で75歳。
本作が長編映画デビュー作だそうだ。
脚本家としては「いちご白書」などを書くなど
長いキャリアがある人らしい。
この映画のよさは、脚本よりも主俳優たちの
演技にある。ちょっと舞台劇のように誇張され
た言動なのだが、重いテーマとバランスをとる
にはそれも悪くはなく、私はそれを好ましいと
思った。
それにしても、親とは何とも罪作りな存在で
あることか。
(センチュリーシネマ)
■ 原作・脚本・監督 イスラエル・ホロヴィッツ
■ 撮影 ミッシェル・アマテュー
■ 音楽 マーク・オートン
■ 出演 ケヴィン・クライン マギー・スミス
クリスティン・スコット・トーマス

邦題からは謎めいたストーリーのような印象を
受けるが、最初のシークエンスが始まるとコミ
カルな内容だと知れる。
しかし、ところがどっこいの内容であった。
(未見の人のためこれ以上は書かない)
監督は製作の2014年時点で75歳。
本作が長編映画デビュー作だそうだ。
脚本家としては「いちご白書」などを書くなど
長いキャリアがある人らしい。
この映画のよさは、脚本よりも主俳優たちの
演技にある。ちょっと舞台劇のように誇張され
た言動なのだが、重いテーマとバランスをとる
にはそれも悪くはなく、私はそれを好ましいと
思った。
それにしても、親とは何とも罪作りな存在で
あることか。
DVD 霧の中の風景 ☆☆☆☆
■ TOPIO STIN OMICHLI 1988年 ギリシャ/フランス 125分
■ 原案・監督 テオ・アンゲロプロス
■ 脚本 テオ・アンゲロプロス トニーノ・グエッラ
タナシス・ヴァルニティス
■ 撮影 ジョルゴス・アルヴァニティス
■ 音楽 エレニ・カラインドロウ
テオ・アンゲロプロスの長編第七作目。
姉弟のドイツへの旅。
変わりゆく社会。
試練多き世界。
私たちはたぶん、今も霧の中の風景を歩いている。
■ 原案・監督 テオ・アンゲロプロス
■ 脚本 テオ・アンゲロプロス トニーノ・グエッラ
タナシス・ヴァルニティス
■ 撮影 ジョルゴス・アルヴァニティス
■ 音楽 エレニ・カラインドロウ

姉弟のドイツへの旅。
変わりゆく社会。
試練多き世界。
私たちはたぶん、今も霧の中の風景を歩いている。
映画 007 スペクター ☆☆
■ SPECTRE イギリス/アメリカ 2015年 148分
(ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督 サム・メンデス
■ 脚本 ジョン・ローガン ニール・パーヴィス
ロバート・ウェイド ジェズ・バターワース
■ 撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ
■ 音楽 トーマス・ニューマン
■ 出演 ダニエル・クレイグ
活劇の面白さを期待したのが間違いだったのか。
多くの資本とスタッフを投入し、先行上映という鳴り物
入りの封切りだったが、映画は弾んでいなかった。
(148分でなく、90分以内の映画で十分だ)
その一因は、今回の筋立てがボンドの出自や過去の
殺しに関わっていることにある。内省的なボンドの姿
など私は見たくなかった。活劇の主人公に懊悩は似
合わない。
だから、美女と抱き合う彼の表情にも歓びは薄く、ハ
イテクスポーツカーを駆り、額にしわを寄せながら組
織の防衛に腐心しているだけのスパイという印象を
受けた。
もちろん映画が弾まない他の要因として、世界で起き
る現実の事件の方が映画を超えていたり、諜報活動
が電子情報戦にと変化しているなど様々あるだろう。
でも、ボンドはあくまでも、身体で判断する非情な暗殺
者でなくてはいけない。
そうでなかったら、「007映画」は終わり?
(ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督 サム・メンデス
■ 脚本 ジョン・ローガン ニール・パーヴィス
ロバート・ウェイド ジェズ・バターワース
■ 撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ
■ 音楽 トーマス・ニューマン
■ 出演 ダニエル・クレイグ

活劇の面白さを期待したのが間違いだったのか。
多くの資本とスタッフを投入し、先行上映という鳴り物
入りの封切りだったが、映画は弾んでいなかった。
(148分でなく、90分以内の映画で十分だ)
その一因は、今回の筋立てがボンドの出自や過去の
殺しに関わっていることにある。内省的なボンドの姿
など私は見たくなかった。活劇の主人公に懊悩は似
合わない。
だから、美女と抱き合う彼の表情にも歓びは薄く、ハ
イテクスポーツカーを駆り、額にしわを寄せながら組
織の防衛に腐心しているだけのスパイという印象を
受けた。
もちろん映画が弾まない他の要因として、世界で起き
る現実の事件の方が映画を超えていたり、諜報活動
が電子情報戦にと変化しているなど様々あるだろう。
でも、ボンドはあくまでも、身体で判断する非情な暗殺
者でなくてはいけない。
そうでなかったら、「007映画」は終わり?
DVD いとこ同志 ☆☆☆☆
■ LES COUSINS 1959年 フランス 110分
■ 監督 製作 脚本 クロード・シャブロル
■ 撮影 アンリ・ドカエ
■ 音楽 ポール・ミスラキ
■ 出演 ジェラール・ブラン ジャン=クロード・ブリアリ
お気に入りの監督の一人であるシャブロル。
「いとこ同志」DVDをレンタルショップで見付けた。
1959年に発表されたこの映画は、ヌーベルバー
グの先駆的なフィルムとして評価されている作品だ。
初見。
29歳の若さでこのような映画を創るとは!
56年前にこれほどの自由なカメラワーク。
パンの多用。そしてアンニュイの漂う映像。
当時のフランスで誕生した若き映画の旗手たち!
1958年に26歳のルイ・マルが「死刑台のエレベー
ター」を世に出し、59年に27歳のトリュフォーが「大
人は判ってくれない」を発表し、60年に30歳でゴダ
ールが「勝手にしゃがれ」を公開。
同じ時代の波の上に「いとこ同志」も生まれた。
これまで私が観たシャブロル作品は、7本。
DVD「主婦マリーがしたこと」(1988年)
DVD「沈黙の女」(1995年)
映画「最後の賭け」(1998年)
映画「甘い罠」(2000年)
映画「悪の華」(2003年)
映画「引き裂かれた女」(2007年)
映画「刑事ベラミー」(2009年)
どれも凄みのあるフィルムだったが、
その凄さの兆しはすでに初期にあっ
たのだ。
■ 監督 製作 脚本 クロード・シャブロル
■ 撮影 アンリ・ドカエ
■ 音楽 ポール・ミスラキ
■ 出演 ジェラール・ブラン ジャン=クロード・ブリアリ

お気に入りの監督の一人であるシャブロル。
「いとこ同志」DVDをレンタルショップで見付けた。
1959年に発表されたこの映画は、ヌーベルバー
グの先駆的なフィルムとして評価されている作品だ。
初見。
29歳の若さでこのような映画を創るとは!
56年前にこれほどの自由なカメラワーク。
パンの多用。そしてアンニュイの漂う映像。
当時のフランスで誕生した若き映画の旗手たち!
1958年に26歳のルイ・マルが「死刑台のエレベー
ター」を世に出し、59年に27歳のトリュフォーが「大
人は判ってくれない」を発表し、60年に30歳でゴダ
ールが「勝手にしゃがれ」を公開。
同じ時代の波の上に「いとこ同志」も生まれた。
これまで私が観たシャブロル作品は、7本。
DVD「主婦マリーがしたこと」(1988年)
DVD「沈黙の女」(1995年)
映画「最後の賭け」(1998年)
映画「甘い罠」(2000年)
映画「悪の華」(2003年)
映画「引き裂かれた女」(2007年)
映画「刑事ベラミー」(2009年)
どれも凄みのあるフィルムだったが、
その凄さの兆しはすでに初期にあっ
たのだ。
映画 エール! ☆☆☆
■ LA FAMILLE BELIER 2014年 フランス 105分
(ミリオン座)
■ 監督 エリック・ラルティゴ
■ 脚本 ヴィクトリア・ベドス スタニスラス・キャレ・ドゥ・マルベリ
エリック・ラルティゴ トマ・ビデガン
■ 撮影 ロマン・ヴァンダン
■ 音楽 エフゲニー・ガルペリン
サーシャ・ガルペリン
6月に東京で行われた「フランス映画祭2015」の
オープニング作品で、観客賞を受けたそうである。
巧みな脚本で、俳優も上手く、テンポのよい演出。
とりわけ、心地よいストーリーが多くの観客に支持
される所以だろう。
日本映画では湿っぽい話に陥りがちだが、いかに
も欧州らしいユーモアと、ボディランゲージとを生か
した映画で、楽しい雰囲気がいい。
(ミリオン座)
■ 監督 エリック・ラルティゴ
■ 脚本 ヴィクトリア・ベドス スタニスラス・キャレ・ドゥ・マルベリ
エリック・ラルティゴ トマ・ビデガン
■ 撮影 ロマン・ヴァンダン
■ 音楽 エフゲニー・ガルペリン
サーシャ・ガルペリン

6月に東京で行われた「フランス映画祭2015」の
オープニング作品で、観客賞を受けたそうである。
巧みな脚本で、俳優も上手く、テンポのよい演出。
とりわけ、心地よいストーリーが多くの観客に支持
される所以だろう。
日本映画では湿っぽい話に陥りがちだが、いかに
も欧州らしいユーモアと、ボディランゲージとを生か
した映画で、楽しい雰囲気がいい。
映画 エベレスト 3D ☆☆
■ EVEREST 2015年 アメリカ 121分
(ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督 バルタザール・コルマウクル
■ 脚本 ウィリアム・ニコルソン サイモン・ボーフォイ
■ 撮影 サルヴァトーレ・トチノ
■ 編集 ミック・オーズリー
■ 出演 ジェイソン・クラーク ジョシュ・ブローリン
最悪の遭難事故は1996年に起きた。
商業登山の危うさを、世界の最高峰は教えたのだ。
ツアーは3社が競合し、ベースキャンプからの出発日
が重なった。どう考えても、狭く危険な登攀路で渋滞
が生じることになる。それでも登山は行われた。
やがて、体調を崩し歩行を停滞させる者。
高所での意識障害で判断と行動に混乱を生じる者。
加えて天候の悪化。
肉体への負荷は地上とは比べるべくもない。
ついに、狭い道での渋滞。
登山者たちの思いは交錯する。
折角65,000ドルを払って参加したのだから…。
知り合いにエベレストに登ると公言したのだから…。
耐えていれば何とか体調は回復するのではないか…。
ガイドたちは、金を払った参加者らを登頂させないわ
けにはいかない職業意識と、遭難させてはならない
責任感でぎりぎりの選択を探る。
なぜか荷揚げしたはずの酸素ボンベが見当たらない。
予定した登攀ロープが張られてない。
天候の急変。
アクシデント。
やがて、1歩も足を運べない者が出来る。
自己判断で引き返す者も出てくる。
かくて、悲劇は起こる。
いささか美談的な印象のある映画だが、見所はロケ
撮影の素晴らしさだ。
しかし、3Dはカメラをパンするとちらつきが生じる。
人物のクローズアップ映像は薄っぺらい印象になる。
だが、景色の遠近や山容の高低における視覚的効
果は抜群なのだ。
ここが、3D映画の悩ましいところである。
(ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督 バルタザール・コルマウクル
■ 脚本 ウィリアム・ニコルソン サイモン・ボーフォイ
■ 撮影 サルヴァトーレ・トチノ
■ 編集 ミック・オーズリー
■ 出演 ジェイソン・クラーク ジョシュ・ブローリン

最悪の遭難事故は1996年に起きた。
商業登山の危うさを、世界の最高峰は教えたのだ。
ツアーは3社が競合し、ベースキャンプからの出発日
が重なった。どう考えても、狭く危険な登攀路で渋滞
が生じることになる。それでも登山は行われた。
やがて、体調を崩し歩行を停滞させる者。
高所での意識障害で判断と行動に混乱を生じる者。
加えて天候の悪化。
肉体への負荷は地上とは比べるべくもない。
ついに、狭い道での渋滞。
登山者たちの思いは交錯する。
折角65,000ドルを払って参加したのだから…。
知り合いにエベレストに登ると公言したのだから…。
耐えていれば何とか体調は回復するのではないか…。
ガイドたちは、金を払った参加者らを登頂させないわ
けにはいかない職業意識と、遭難させてはならない
責任感でぎりぎりの選択を探る。
なぜか荷揚げしたはずの酸素ボンベが見当たらない。
予定した登攀ロープが張られてない。
天候の急変。
アクシデント。
やがて、1歩も足を運べない者が出来る。
自己判断で引き返す者も出てくる。
かくて、悲劇は起こる。
いささか美談的な印象のある映画だが、見所はロケ
撮影の素晴らしさだ。
しかし、3Dはカメラをパンするとちらつきが生じる。
人物のクローズアップ映像は薄っぺらい印象になる。
だが、景色の遠近や山容の高低における視覚的効
果は抜群なのだ。
ここが、3D映画の悩ましいところである。
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