映画 ローマ環状線、めぐりゆく人生たち ☆☆☆☆★ 

■ SACRO GRA 2013年 イタリア/フランス 93分 (名古屋シネマテーク)
■ 監督・撮影 ジャンフランコ・ロージ 

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今まで見たドキュメンタリー映画と全く違う。

対象へのアプローチが悠然として的確で
新鮮でドラマチックで美しいフイルムだ。
                          
 

映画 野良犬たち ☆

■ 2014年 韓国 99分 (シネマスコーレ) 
■ 監督 ハ・ウォンジュン

 
 
 
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映画  めぐり逢わせのお弁当 ☆☆☆★

■ DABBA 2013年 インド/フランス/ドイツ 105分 (名演小劇場)
■ 監督・脚本 リテーシュ・バトラ
■ 
出演 イルファン・カーン ニムラト・カウル 
       ナワーズッディーン・シッディーキー

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ムンバイに暮らす人たちの一端が覗えて興味深い。

かってボンベイと呼ばれたムンバイ。
今や多くのインド企業の本社、多国籍企業の拠点が置
かれ、事業機会を求めて国内各地から、多くの人が集
まるアジア有数の大都会になっている。
その都市で、男たちは仕事に追われ、家庭の主婦は生
活の憂鬱を感じ始めている。

映画がくり返し映し出すのは、毎日のすし詰め通勤車内。
そして、ダッバーと呼ばれる金属製の弁当容器から食す
る食堂の風景や、機械的で乾燥した職場の様子。

そうしたバックグラウンドの上に、味のある俳優を配し、
弁当箱の誤配という有り得ない設定で映画は展開する。

設定は有り得ないのだが、登場人物の心理や行動はな
かなか現実感がある。それがこの映画の魅力だろう。

ただ、主婦イラの行動-とりわけ、彼女がブータン行きを
実行する点-には現実味が薄すぎて違和感を覚えた。
しかし、サージャンがあご髭を剃りながら自らの老いには
っとする場面や、若者シャイクのキャラクターの面白さなど
テーシュ・バトラ監督の才気をいくつか感じた。

彼はインド映画界でもっと活躍することだろう。

映画 フランシス・ハ ☆☆☆☆

■ FRANCES HA 2012年 アメリカ 86分 (ミリオン座)
■ 
監督 ノア・バームバック
■ 脚本 ノア・バームバック グレタ・ガーウィグ
■ 主演 グレタ・ガーウィグ ミッキー・サムナー

 
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若い盛りをすぎようしている女フランシス。
世間の常識から少しだけズレて、才能もそこそこの
フランシスがとても愛らしく、魅力的に描かれている。
がんばれ、と思わず応援したくなった。 




映画 幸せのバランス ☆☆☆☆

■ GLI EQUILIBRISTI 2012年 イタリア/フランス 107分
                    (名古屋シネマテーク) 
■ 
監督 イヴァーノ・デ・マッテオ
■ 脚本 イヴァーノ・デ・マッテオ ヴァレンティナ・フェルラン  

■ 主演 ヴァレリオ・マスタンドレア

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映画はイタリアの市役所勤めの夫がホームレスになる
までの転落の様を描いている。

原題GLI EQUILIBRISTIは翻訳では「アクロバット」で、
「アクロバット」は広辞苑では軽業とか曲芸の謂とあり、
イタリアでは妻子と別居をすれば、公務員でも金銭的
な困窮を招き、容易に路上生活者へ、そして品性がさ
もしくなってしまうのか。

その様に観客は長嘆息を吐くしかなかった。








映画 舞妓はレディ ☆☆☆

■ 2014年 135分 (ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督・脚本 周防正行

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あれよあれよと2時間余を楽しませる周防ワールド。

知っているようで知らない京の花街へ誘う手練。
きっちりと作り込んだハートウォーミングストーリー。
達者な脇役らの演技で少女の初々しさを際立たせる演出術。
ミュジックショー場面に転換させる絶妙な手管。

印象に残るのは周防監督の上手さ。




 




映画 猿の惑星:新世紀 ☆☆☆☆

 DAWN OF THE PLANET OF THE APES 
  2014年 アメリカ 131分 (TOHOシネマズ名古屋ベイシティ)

■ 監督 マット・リーヴス
■ 脚本 リック・ジャッファ   
       アマンダ・シルヴァー
              マーク・ボンバック
■ 撮影 マイケル・セレシン

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本作で描かれる人類は何を指すのか。
猿は何を暗喩するのか。
本作は否応なくそれを考えさせる。
観客は人類や猿の姿に、あの人物を、あの国を、あの時代を
さらに今の時代を重ねる始めるのだ。

そして、自分はどちらの側にいるのか、どちらの種類の者か
などと自問しつつ、シーザーの鋭い眼光の中に今ある危機を
きっと見出すに違いない。


映画 イントゥ・ザ・ストーム ☆☆☆★

■ INTO THE STORM 2014年 アメリカ 89分
             (ミッドランドスクエアシネマ)
■ 
監督 スティーヴン・クエイル 
■ 撮影 ブライアン・ピアソン

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巨大で激烈な竜巻シーンは観客を圧倒する。

昨今の世界各地で起こる天候異変の報道を目にすると、
映画「イントゥ・ザ・ストーム」の映像は、絵空事ではない
生々しさがある。

運よく生き残る家族もあれば、死んでしまう多くの人もいる。
でも、その命運の分かれ目は、竜巻の知るところではない。
竜巻は竜巻なのであって、人間の営みにあずかり知らぬ存在だ。
それを思い知らせるかのような映画であることがとても素晴らしい。

それにしても、ハリウッドの撮影や視覚効果チームの技術は
これほどまでに高いのか。









映画 友よ さらばと言おう ☆☆☆☆

■ MEA CULPA 2014年 フランス 90分 (ミリオン座)
■ 監督 フレッド・カヴァイエ
■ 脚本 フレッド・カヴァイエ ギョーム・ルマン  

■ 編集 バンジャマン・ヴェイユ
■ 主演 ヴァンサン・ランドン ジル・ルルーシュ

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安直な邦題などに惑わされてはならない。
カヴァイエ監督のノンストップ追走劇は本作でも快調なのだ。

「すべて彼女のために」でわたしたちを驚かせ、
「この愛のために撃て」で最後まではらはらさせ、
本作での作劇術も、前作に優るとも劣らず、である。

これは驚くべきことだ。
似たような路線の作品を三度続けても
観客の期待は全く裏切られない出来なのだから。

緊迫感あふれる追いつ追われつのシナリオ。
それを映像として表す巧みな編集。
無駄なセリフを排した味わいのあるフイルム。

原題 MEA CULPA(私の過失によって)の意味。
それが明らかにされるラスト…。


映画 るろうに剣心 伝説の最期編 ☆☆★

■ 2014年 135分 (ミッドランドスクエアシネマ) 
■ 監督 大友啓史
■ 脚本 大友啓史 藤井清美
■ アクション監督 谷垣健治
■ 主演 佐藤 健

   
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緊迫感に欠ける冗長な135分だった。
何よりも閉口したのは、説明的で説教調なセリフの多さだった。

登場する主要人物の余りな不死身さぶりには目をつぶるとして
も、死闘を繰り広げている場面やあるいは感極まるような場面
で、歯の浮くようなセリフをなぜ吐く必要があるのだろう。

隣の観客(年配の男性)は、3度わたしに聞こえるか聞こえない
か程の小さな欠伸を洩らした。全く偶然だが、わたしも同じ場面
で退屈のため息を噛み殺したのだった。

なぜ、もっとスピーディーでクールなフイルムにしなかったのだろう。
なぜ、90分くらいの長さに仕上げなかったのだろう。
熱気の感じられる映画なのに、とても惜しい。



映画 フィル・ザ・ヴォイド ☆☆☆★ 

■ Lemale et ha'halal 2012年 イスラエル 90分
                     (シネマスコーレ)
■ 監督・脚本 ラマ・ブルシュタイン   

■ 主演 ハダス・ヤロン

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デリケートな題材が取り上げられている映画だ。

題材に興味を惹かれつつも、一方で細やかに描かれ
ているイスラエル人の日常生活、習慣、風習、服装な
どがとても新鮮に感じられ、そちらの方に興味津々だ
った。

英題はFill the Void (空白を埋める)…。
登場する全ての人が空白をもっていて、確かにそれを
埋めようとしているのかも知れない。


映画 テロ、ライブ ☆☆☆☆★

■ THE TERROR LIVE 2013年 韓国 98分 (シネマスコーレ)
■ 監督・脚本 キム・ビョンウ
■ 主演 ハ・ジョンウ

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この作品が商業映画デビューという監督キム・ビョンウ
は1980年生まれだそうだ。
緊張感いっぱいのデビュー作に拍手を送りたい。

混乱と欲望のノンストップ状況を98分に凝縮した脚本は
中継メディアの虚々実々と犯行の拡大を、現在進行形で
展開していくのだ。巧みな脚本だ、との一言に尽きる。

カメラワークや音楽の使い方も、最後まではらはら感を演
出し、これこそエンターテーメント映画だ、低予算の映画で
もここまで出来るのだ、と言わんばかりの熱気にあふれて
いる。

マナーに反するので、展開や結末は書けないのだが、
名古屋の単館上映では、もったいないほどの娯楽性
に富んだ上出来の映画だ!とだけは言っておきたい。 






映画 サムソンとデリラ ☆☆☆☆★

■ SAMSON AND DELILAH 2009年 オーストラリア 101分
                        (シネマスコーレ) 
■ 
監督・脚本・撮影 ワーウィック・ソーントン 

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パゾリーニの映画に似たような、荒々しさと繊細さを合わ
せ持ったこのオーストラリア映画は、私には衝撃だった。

映画のタイトル「サムソンとデリラ」は、登場する主人公
二人の若者の名前だが、旧約聖書の「サムソンとデリラ」
を当然ながら連想させる。

髪の毛を切るという行為は、二つの「サムソンとデリラ」の
共通点だが、意味合いは異なっている。

言葉をほとんど発しないサムソン
極貧と被差別と噴出する暴力
田舎と都会

夜景の多用、そして夜明け
回る風車

音の使い方、光の使い方が抜群にすぐれた映画だ。

映画 フットノート ☆☆☆☆

■ HEARAT SHULAYIM 2011年 イスラエル 106分 (シネマスコーレ)
■ 
監督・脚本 ヨセフ・シダー

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ひとつの取り違えから、静かに悲喜交々の波紋が広がっていく…。
ユニークな着想をもった脚本は絶妙で、最後まで飽きさせない。


長い不運を嘆いた末に孤高を装う父親。
しかし、内心生じる栄誉への執着や嫉妬、そして息子への対抗心。

一見は配慮家で寛容で、誰もが認める実績をもつ息子。
しかし、胸中には父親への同情と対抗心が同居している。

二人の静かな相克は癒えることがあるのだろうか。


絶妙な脚本は、映画の終わり方もユニークだった。