映画 冷血のレクイエム 【極限探偵B+】 ☆☆☆☆ 

■ B+偵探 2011年 香港 100分 (シネマスコーレ)
■ 監督 オキサイド・パン
■ 脚本 オキサイド・パン トーマス・パン 
■ 
撮影 デーチャー・スリマントラ
■ 
主演 アーロン・クォック

 
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時間をつくって、シネマスコーレのナイト上映に出かけた。

パン監督の“極限探偵三部作”の、3夜もしくは4夜で替わ
る上映会が、先週からシネマスコーレで始まったのだ。
「冷血のレクイエム」は、その第二弾である。

タイ・バンコックの中華街に住む探偵という設定が面白い。
如何わしい街の雰囲気。
偏執的な捜査を行う探偵。
探偵タム役は
「コールド・ウオー寒戦」(2012)
で主演した
男優アーロン・クォック。

オキサイド・パン監督の作品を初めて観たが、怖さを出す演出
に長けた人だと感じた。
暗い細い裏路地をフルフェイスのオートバイが追走してくる怖さ。
警官を轢いた黒いバンが止めを刺すかどうかを再度うかがう怖さ、
などなど。
ケレン味の利いた画面づくりもなかなか愉しめる。
冒頭で虫眼めがねを使った探偵の顔の撮り方や
極端な緩急をつけたカットバックの巧みさ。
などなど。

シリアスな作品もいいけれど、
パン監督の破天荒な作品もいい。
娯楽映画の面白さにひかれて、
極限探偵の第三弾も観てみたくなった。




映画 私の、息子 ☆☆☆☆★ 

■ POZITIA COPILULUI 2013年 ルーマニア 112分 (名演小劇場)
■ 監督 カリン・ペーター・ネッツァー
■ 脚本 カリン・ペーター・ネッツァー ラズヴァン・ラドゥレスク
■ 
撮影 アンドレイ・ブティカ

 
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ルーマニアの映画は「4ヶ月、3週間と2日」(2007年)が
シビアな作品だったな、と強く記憶に残っている。

「私の、息子」(原題は「子供のポーズ」の意か)も、かなり
シビアなドラマである。
しかし、カメラはほとんどドキュメンタリー映画のような動き
で登場人物たちをとらえていく。
そのアンバランスさが、単なるドラマではなく、抜き差しなら
ない深刻な現実の話だと伝えているようで、観る者はスクリ
ーンから目が離せなくなる。
最後の方でカメラが、車のサイドミラーに写る人物をとらえ、
続いて後部ガラス越しに人物を映し出す長回しのショットに
は、緊張をしいられるようで、思わずうなってしまった。

子供をひき殺してしまった息子と、殺された子供の父親とが
道端で対面する場面は緊張のクライマックスシーンだ。
二人の姿をカメラは車の窓越しからとらえる。
そして、二人がとった行動は…。
これにも、うなってしまう他はなかった。


  

映画 GF*BF ☆☆☆★ 

■ 女朋友。男朋友 2012年 台湾 105分 (シネマスコーレ)
■ 監督・脚本 ヤン・ヤーチェ 
■ 出演 グイ・ルンメイ ジョセフ・チャン リディアン・ヴォーン   140623.jpg

恋愛と友情を繊細に描いたこの台湾映画には、正直参った。

甘美さと苦渋が交錯する青春をみずみずしく描いた演出。

複雑な感情をかかえた若者を演じる俳優グイ・ルンメイの巧みさ。

台湾映画を見直した思いだ。



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映画 罪の手ざわり ☆☆☆☆☆

■ 天注定 129分 中国/日本 2013年 (名古屋シネマテーク)
■ 監督・脚本 賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
■ 撮影 余力為(ユー・リクウァイ)
■ 音楽 林強(リン・チャン)

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必見!

緊張に満ち満ちたシーンが連続する傑作フィルム。


緊張を支えているのは、登場人物の行動である。
その行動は衝動であり、煩悶の果ての結論であり、
存在の証明であるかのようだ。

緊張を支えているのは、人物のうしろに見える風景である。
そびえる近代的な超高層ビル群が、煙を吐き続ける巨大な工場が、
同じ意匠で並ぶ無数のマンションの佇まいが、
超速すぎる進歩の危うさを鮮烈に提示する。

馬も人も、苦悶の息を吐き、
鶏も人も、赤い血をしたたらせる。


賈樟柯の映画の魅力がここにある。


 

双子山散策 

6月16日  

蓼科山がよく見える双子山に行った。
双子山に登るのは3度目だ。

昨夜の豪雨のせいで落ちたか石か
落石の散乱が目立つ林道を車で走った。

      大河原峠の小屋付近
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久しぶりに来た大河原峠は寂れた印象だった。
現在、大河原ヒュッテは予約客の無いときは開いていないようだ。
公衆トイレも閉鎖されていた。

ただし、双子山までわずか20分ほどで着く山道は
よく踏まれていて歩きやすい。

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 双子山頂上は晴れて
 わたる風がすずしく ここちよい。
 蓼科山と前掛山がよく見えた。
    
        
      左が蓼科山(2530m) 右の低いのが前掛山(2353m)

 
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              双子山山頂(2223m)からの眺め


    

映画 グランド・ブダペスト・ホテル ☆☆☆☆ 

■ THE GRAND BUDAPEST HOTEL 2013年 イギリス/ドイツ 100分 
                                        (TOHOシネマズ 名古屋ベイシティ)
■ 監督・脚本 ウェス・アンダーソン
■ 原案 ウェス・アンダーソン ヒューゴ・ギネス
■ 音楽 アレクサンドル・デスプラ
■ 主演 レイフ・ファインズ
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現実味がないお話と、歯切れのよい展開。
洒落たユーモアと、甘美な残酷描写。
丁寧に作り上げられた画面の中で、登場する大物役者たちが
愉しみながら演技している様子がうかがえる贅沢な作品。

速いテンポの映画なのに、悠揚迫らぬ印象を残すような
異色の映画だった。
監督ウェス・アンダーソンの才気が躍動していた。

映画 インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 ☆☆☆☆★ 

■ INSIDE LLEWYN DAVIS 2013年 アメリカ 105分 (ミリオン座)
■ 監督・脚本 ジョエル・コーエン イーサン・コーエン
■ 撮影 ブリュノ・デルボネル
■ 主演 オスカー・アイザック

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胸にしずかに、ふかく、沁みてくる傑作。


ニューヨークからシカゴへ、シカゴからニューヨークへ。
その短い旅のシークエンスの素晴らしい演出と撮影。

ラスト・シークエンスも忘れることができない。
ボブ・ディランと思われる歌手と主人公がライブハウス
で交差する場面には、胸が熱くなって仕方がなかった。

主人公ルーウィン・デイヴィス のモデルになったデイ
ヴ・ヴァン・ロンクのことは、何も知らないけれど、時
代を画するビッグ・シンガー誕生の前に、まさるとも
おとらぬ才能のあふれる、若くて不遇のシングソング
ライターたちが、綺羅星のごとくいたのだろう。

星くずのような彼らの中の或る者は、超巨星に
少なからずの影響を与えていったことだろう。

その伝説的な生き方と、その時代の空気をこと
さら飾ることなく描いてみせるコーエン兄弟の才
気や如何ばかり。







映画 六月燈の三姉妹 ☆☆☆★

■ 2013年 ピーズ・インターナショナル 104分 (春日井コロナ)
■ 監督 佐々部清
■ 原作・脚本 水谷龍二
■ 出演 吹石一恵 吉田羊 徳永えり

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同監督の「チルソクの夏」を思い出した。
下関を舞台にした青春を生きる少女の話で
何ともいえないすがすがしさと哀惜のある作
品だった。

「六月燈の三姉妹」は、鹿児島の下町商店街に
ある老舗菓子舗の三姉妹を描いている。
それぞれのかかえる微妙な事情も
母と父との微妙な関係も全て
六月燈の美しい明かりが包み込んでいく好篇だ。