DVD LOOPER/ルーパー ☆★  

■ 2012年 アメリカ 118分
■ 監督・脚本 ライアン・ジョンソン
■ 出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット
       ブルース・ウィリス
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話のタネは、「バック・トゥー・ザ・フィチャー」に
「ターミネーター」を足したモノと言ってよい。
それに、「主人公が未来の自分を抹殺する」設
定を、新しく加えたら…というのが本作である。
            *
話の途中までは興味深いのだが、子供が登場し、
更に主人公のほとけ心のせいで、結局、映画は
「オーメン」になってしまった観がある。
果たして、それは監督が意図した方向だったのか
どうか…。     

映画 エレニの帰郷 ☆☆☆☆☆ 

■ THE DUST OF TIME 2008年
  ギリシャ/ドイツ/カナダ/ロシア 127分(ピカデリー)
■ 監督・脚本 テオ・アンゲロプロス
■ 撮影 アンドレアス・シナノス
■ 音楽 エレニ・カラインドロウ   

 
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これほど風格のある映像とストーリーからなる映画を
作れる人は、世界に何人いるのだろう。
           *
緩やかなカメラワークが
歴史に翻弄される個人の痛哀を
国を越え 時間を超え
静かに浮上させる。
その痛哀は、ほとんど美しい。
           *
三部作からなるこの第二作「エレニの帰郷」が
アンゲロプロスの遺作となってしまったとは
じつに じつに 残念だ。

映画 女っ気なし ☆☆☆☆

■ UN MONDE SANS FEMMEE 2011年 フランス 58分
                   (名古屋シネマテーク)
■ 監督 ギョーム・ブラック
■ 主演 ヴァンサン・マケーニュ

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 ハリウッドではぜったい出来ない作品。

  人生の一コマを見るような佳作だ。

  作風が好ましい。いとしさを覚えるほど。

  主人公シルヴァンがとてもいい。
  
  

映画 マイ・マザー ☆☆☆☆

■ I KILLED MY MOTHER 2009年 カナダ 100分 (名古屋シネマテーク)
■ 監督・脚本・主演・製作 グザヴィエ・ドラン

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斬新なショットで綴られる17歳の姿。
            *
この映画が、19歳の青年の手によって作られたとは
全く驚きのほかはない。
あふれる才気。
            *
母ひとり子ひとりの家庭に暮らす青年ユベール。
母親の存在。
節介?足枷?干渉?束縛?支配?
反感。防御。反抗。敵視。憎悪。
級友との性
ドラッグ
寄宿舎学校
苛立ち。焦燥。煩悶。 
そして、決別。
            *
これからは、見逃せない監督として記憶したい。

映画 リターン・トゥ・ベース ☆☆  

■ 2012年 韓国 114分 (WOWOW放映)
■ 
監督 キム・ドンウォン

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韓国と北朝鮮との間で起こるスクランブル映画。
人物の設定やストーリーは、荒唐無稽だ。
              *
主人公は、軍人らしい冷静さを持たない、無謀な
飛行技術に腐心する若い戦闘機要員。
ストーリーは、取って付けたような恋愛をからませ
主人公が北朝鮮のクーデター分子からの侵略を
粉砕するという、めでたしめでたしの結末。
唯一興味を持ったのは、韓国の高官らが米軍側
の態度に業を煮やし、毅然とした姿勢で応戦指
令を出す場面だった。(日本だったら…どうか)
さて、韓国の人たちは、この映画をどう観たのだろう。

         

映画 悪魔の陽の下に ☆☆☆

■ SOUS LE SOLEIL DE SATAN 
     1987年 フランス 98分 (名古屋シネマテーク) 
■ 監督 モーリス・ピアラ
■ 原作 ジョルジュ・ベルナス
■ 
脚本 シルヴィー・ダントン モーリス・ピアラ 
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冷え冷えとした北フランスの蒼く沈む広野
不潔な馬商人の姿で現れる悪魔がささやく口もと
自ら命を絶ったムーシェッットの血だらけの剃刀
余人には理解できぬ懊悩の淵で悶える助任司祭の目
死の床から復活する男の子
            *
悲劇や奇蹟は、神の存在するところで起こったのか。
それとも、全ては、悪魔の陽の下にして起きたことなのか…。
            *
私たちは、しばし固い沈黙の表情で、映画館を出るだろう。
そのあと、大きくため息をひとつ吐くことに…。

映画 麦子さんと ☆☆☆★

■ 2013年 ファントム・フィルム 95分 (ミリオン座)
■ 監督 吉田恵輔
■ 脚本 吉田恵輔 仁志原了
■ 主演 堀北真希
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かなり深刻で、暗くなりがちな内容の映画である。
しかし、エンドマークが出る頃に、私たちは温かく
さわやかな気分になっている。
             *
麦子を演じる堀北真希本人の、どこかズレている
ような、浮き世ばなれしているような生来の持ち味
もあるだろう。
だが、それ以上に、母の故郷の人々が善意の人
たちとして描かれていることが、大きいように思う。
             *
若いときの母を知る人々の好意と善意。
そのことが麦子に、戸惑い、反発を起こさせると
同時に、やがて母を許すことへと導いていく。
善意は、反発をも生むが、理解を経て、受容に達
することがある-という視点。
吉田と仁志原の脚本のうまさは、その視点だ。
             *
脚本の巧みさで、この映画は辛いが甘い。甘いが苦い。 
絶妙なさじ加減を持った秀作なのである。

映画 ヴァン・ゴッホ ☆☆☆☆★

■ VAN GOGH 1991年 フランス 160分 (名古屋シネマテーク)
■ 
監督・脚本 モーリス・ピアラ

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1890年7月37歳、短銃自殺で世を去ったゴッホ。
その最期3ヶ月の鬼気迫る生活を、映画は描く。
             *
監督モーリス・ピアラはすでに2003年に没し、彼の
没後10年を機に公開されたこの映画もまた、鬼気迫
ものである。
主演のジャック・ジュトロンは、実在のゴッホもかくや
と思わせるほどの圧倒的な存在感、
弟テオとの深い確執をえぐるように書き込んだ脚本、
ゴッホを取り巻く人物の内面を容赦なく描いた演出、
ピアラ監督の才能・力量の鋭さ、大きさに驚いた。
             *
世界には、すぐれた監督のすぐれた映画が、まだまだ
日本未公開のまま眠っているに違いない。


 

シナリオ うちのホンカン

■ 脚本 倉本聰 (理論社) 
■ テレビドラマ 制作 北海道放送 (1975-81年) 

 うちのホンカン


ドラマは未見である。
シナリオを読むだけでも、面白い。
30年以上前の脚本だが、じつに面白い!
2014年の現在でさえもなお
読むと胸に迫るものがある。新鮮である。
         *
1話の「うちのホンカン」
4話の「冬のホンカン」
6話の「ホンカン仰天す」
が特にいい。
         *
倉本聰の脚本の多くは、単行本化されているので
放送が終わっても、愉しむことが出来る。
放送を見ていなくても、楽しむことができる。
これは、ちょっとすごいことか、と。
いや、おおいにすごいことか、と思う。 

映画 少女は自転車にのって ☆☆☆☆

■ WADJDA 2012年 サウジアラビア 97分 (名演小劇場)
■ 監督・脚本 ハイファ・アル=マンスール
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サウジアラビアでの男尊女卑の現実は、日本の比ではない。
美しい瞳をもったワジダという少女が、私たちにそのことを伝える。
そしてまた、現実の壁を超えるひとつの方法を示す。
               *
それは、確かに容易ではないけれど
したたかな精神と
努力を惜しまない行動力と
同等に女と競う男の存在とがあれば
そして
レディネスを有した人々の応援があれば
それは出来るのだ、と
               *
未来を展望することのさわやかを感じさせるすぐれた作品。
             


映画 Seventh Code セブンス・コード ☆☆☆★

■ 2013年 日活 60分 (センチュリーシネマ)
■ 監督・脚本 黒沢清
■ 主演 前田敦子

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未見の人のために、映画の内容には触れないでおく。
ただ
荒涼としたウラジオストックの風景。
前田敦子の見事な動き。
ラストシーンのカメラワーク。
観終わった後に残る謎。
それらが
印象深く刻まれる映画だった、とだけ云っておこう。
短編ながら黒沢清映画の魅力が十分に伝わってきた。
          *
この作品の上映は、1日1回。
しかも公開期間は1週間限定。
そんな異例といってよい上映方法のせいだろうか。
思いのほか、客の入りはよかった。      
          


映画 名探偵ゴッド・アイ ☆☆

■ 盲探 2013年 香港 130分 (シネマスコーレ)
■ 監督 ジョニー・トー
■ 脚本 ワイ・カーファイ ヤウ・ナイホイ
       チャン・ワイバン ユー・シー
■ 
撮影 チェン・ チュウキョン
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トーの最新作としては、私には期待はずれだった。
              *
美食家で加虐的な探偵と、余りにも被虐的な女刑事との
掛け合い漫才的捜査に、新しい魅力が感じられないまま
の、2時間余の長尺は苦しい。
              *
同じスタッフで作り上げた、同時上映の「毒戦」がとてもよ
い出来だったので、なおさらそう思う。
次回作に期待したい。

 




映画 ドラッグ・ウォー毒戦 ☆☆☆☆

■ 毒戦 2012年 香港・中国 106分 (シネマスコーレ)
■ 監督 ジョニー・トー
■ 脚本 ワイ・カーファイ ヤウ・ナイホイ
       チャン・ワンバン ユー・シー
■ 撮影 チェン・チュウキョン
■ 出演 スン・ホンレイ ルイス・クー

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11日のシネマスコーレは、ファンが待ちに待った
映画「ドラッグ・ウォー」の名古屋地区封切日とあ
って、凍えるような寒さの中、初回上映40分前か
ら30人を超える人が集まっていた。
        *
映画は、いきなり冒頭から息もつかせぬ展開である。
これぞ、ジョニー・トーの世界。
これぞ、香港ノアールの王道。
緊迫感あふれるシナリオ、静と動を織り交ぜた巧みな撮影。
犯罪映画を堪能できる106分。
        *
とりわけ素晴らしいのが2つの銃撃シーンだ。
鄂州の工場内でのシーン。
ろうあ兄弟が見せる応戦テクニック。
二人の鋭い眼光。無駄のない素早い動き。
美しい! 

津海の路上で繰り広げられるシーン。
通学バスを巻き込みながら、まさに死闘が展開する。
車を楯にした銃撃戦で打ち抜かれるのは、脚。
だれもが負傷した脚を引きずりながらの銃撃場面は
妙に生々しい。
        *
スン・ホンレイの面構えには、犯罪捜査への執念が…        
ルイス・クーの叫びには、犯罪者の虚々実々が…
その二人の演技にも魅せられる。

映画 フォンターナ広場 ☆☆☆

■ ROMANZO DI UNA STRAGE 2012年 イタリア 129分
                        (名演小劇場)
■ 監督 マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ

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政府が関与したであろう謀略と虐殺を
複雑な組織同士の絡みを背景に
サスペンスタッチの硬質な映像で描いている。
           *
かって日本の熊井啓が
その初期の作品で示した不可思議で不気味な
黒い霧のような謀略の映画を思い出した。
           *          
どちらが鮮烈な印象を残したか。


映画 ある精肉店のはなし ☆☆☆☆★

■ 2013年 日本 108分 (シネマスコーレ)
■ 監督 纐纈あや

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過程を丁寧に描き、真の力強さを持つ傑出した作品。

どのシークエンスも、私たちを揺さぶらずにはおかない。

近年の必見の1本!


映画 ふたりのアトリエ ~ある彫刻家とモデル ☆☆☆★

■ EL ARTISTA Y LA MODELO
       2012年 スペイン 105分 (名演小劇場)
■ 監督 フェルナンド・トルエバ
■ 
出演 ジャン・ロシュフォール アイーダ・フォルチ
       クラウディア・カルディナ-レ  
  
第二次大戦下で、創作のエネルギーを再燃させんと
する孤高の彫塑家マーク。
            *
端正なモノクロール画面で描かれる芸術家のインス
ピレーションの芽生えさせ方が、興味深い。
            * 
かってのモデルで、現在は年老いた妻のリーからは
創作の霊感を受けることはもうないのだろう。
若く美しい肢体をもった女メルセ。
若い頃には美しく魅惑的な肢体であったリー。
メルセ役のアイーダの裸体も素晴らしいが
リーを演じるクラウディアの存在感も素晴らしい。
           *
ラストシーンも、芸術家の孤高を暗示して、印象的だった。 

ついでながら、邦題については一言述べておきたい。
(メインタイトルの邦訳は、ズレているとしか思えない。
 だれがどんな感覚でこのように付けるのだろうか)と。