DVD トリプルタップ ☆☆☆

■ 槍王之王 TRIPLE TAP 2010年 香港 118分

■ 監督 イー・トンシン
■ 出演 ダニエル・ウー  ルイス・クー

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冒頭の射撃大会に続く輸送車強奪シーンの畳み掛ける演出に
スピード感があり、テンポのよい香港映画の幕開きが楽しめる。

ただし、期待はここまでだったようだ。
ルイス・クーの演じる人物像が魅力に乏しく、話の展開もぎこちない。 
わざとらしく心理学を持ち出したり、女性関係を絡めたりするのも
よさを失わせる因子になっているのが惜しまれる。

香港アクション映画のファンなら、きっと思う。 
強奪団の結びつきの経緯や仲間割れのどろどろした顛末をもっと
描いた映画にできなかったのか、と。

次回作は、生きのよい若手俳優たちもどんどん起用し、はらはら
ドキドキの映画を、と期待したい。

テーマ : DVDレビュー - ジャンル : 映画

DVD 僕達急行 A列車で行こう ☆☆☆ 

■ 2011年 東映 117分

■ 監督・脚本 森田芳光
■ 撮影 沖村志宏

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この作品が、映画監督森田芳光の遺作となった。

映画は、近ごろはやりの過剰で声高で押しつけがましさの
全くない、肩の力のぬた気持ちのよいストーリーテーリング
を持ち、夜を走る列車の美しい撮影も相まって、青年たち
の姿が軽やかにつづられていく。ほのぼの的な映画だが
それでいて、水準以上の佳作に仕上げるのは、職人監督
森田の真骨頂だ。

「家族ゲーム」「(ハル)」「黒い家」のような傑作を創り、「椿
三十郎」のような不可解なリメイクフィルムも遺した森田。

映画館で見逃した、森田の創ったプログラムピクチャ-の
数々を、DVDでゆっくり観ることにしよう。
思わぬ発見があるような気がしてならないのだ。


テーマ : 邦画 - ジャンル : 映画

DVD ホット ファズ 俺たちスーパーポリスメン! ☆☆☆★ 

■ HOT FUZZ 2007年 イギリス・フランス 120分

■ 監督 エドガー・ライト
■ 脚本 エドガー・ライト サイモン・ペッグ
■ 編集 クリス・ディケンズ
(「スラムドッグ$ミリオネア」「宇宙人ポール」「レ・ミゼラブル」の編集者)
■ 出演 サイモン・ペッグ ニック・フロスト
 
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お馴染みの主演ふたりのほか、007のティモシー・ダルトン、
TV「シャーロック」のマーティン・フリーマンなど多彩な役者が
揃い、「ショーン・オブ・ザ・デッド」より過激さを増した作品だ。
               *
エドガー独特の場面転換の手法や、思わぬ事態が展開する
に違いないというワクワクの期待感も健在で楽しめる。
90分くらいの長さに刈り込んだほうが、もっと印象深い作品に
なったのだろうが、これでもかこれでもかというサービス精神の
なせる所為と、割り引いておこう。
               *
エドガーファンの熱狂的要望によって、日本での公開がめでたく
決定した映画だと聞くが、なぜか、愛知県や名古屋では未上映
だったらしく、惜しいこと限りなしである。

           




テーマ : 洋画 - ジャンル : 映画

DVD ショーン・オブ・ザ・デッド ☆☆☆☆ 

■ SHAUN OF THE DEAD 劇場未公開  2004年 イギリス 100分 

■ 監督 エドガー・ライト 
■ 脚本 エドガー・ライト サイモン・ペッグ
■ 主演 サイモン・ペッグ ニック・フロスト 
 
82400 

ゾンビ化する人間が増えてゆく町。
ダメ青年のショーンはいかに行動したか。

グロテスクで ウイッティーな展開と
シリアスで コミックな映像とが
渾然一体となった
悲痛な家族映画とも 大爆笑の友情映画ともとれる
傑作フィルム。

ラストシーンは、並のゾンビ映画では見られない
熱い友情と、この後の怖さを感じさせて、素晴らしい。
1時間30分ほどの長さに収まっているのも好ましい。  
 

テーマ : ホラー映画 - ジャンル : 映画

DVD ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 ☆☆☆☆ 

■ THE WOMAN IN BLACK  2012年 イギリス/カナダ/スウェーデン 95分

■ 監督 ジェームズ・ワトキンス

■ 脚本 ジェーン・ゴールドマン


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なめらかに移動するカメラが映し出すおぼろげな人かげ。
遠くからこちらを見つめているようだ。
黒い衣装をまとった女性のように見える。
            *
深い海霧につつまれる海岸に建つ古い館。
暗く沈んだような邸内に残された手紙。
            *
95分の長さが、この映画をうまくひきしめている。
そして、短いショットなのだが、なんと余韻のふかいラストシーンなのだろう。
久しぶりに美しいホラー映画を観た。

(それにしても、日本語の副題はひどい)

テーマ : ホラー映画 - ジャンル : 映画

DVD カナリア ☆☆☆★

■ CANARY 2004年 132分

■ 監督・脚本 塩田明彦

■ 出演 石田法嗣 谷村美月 西島秀俊

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母親と分離されたカルト教団での生活を経験した少年。
母親と死別し、援助交際で生活費を稼ぐ少女。
監督塩田が描いたのは、たぶん少年少女の痛々しい魂だろう。
            *
救いや理想を求めて、破滅と独善の極北に向かう信者集団。
平凡な家庭を取り戻すため、子供に理不尽な仕打ちする祖父母。
この世に生まれたことを親から喜ばれない子供。
そして、放浪するように生きる子供の姿。
           *
息がつまるような物語だが
それでも現実に足を踏み出そうとする子供たちに
塩田はエールを送るのだ。 


テーマ : 邦画 - ジャンル : 映画

映画 ホワイトハウス・ダウン ☆☆★ 

 WHITE HOUSE DOWN 2013年 アメリカ 132分 (ユナイッテドシネマ稲沢)
 監督 ローランド・エメリッヒ
■ 脚本 ジェームス・ヴァンダービルト

20 

肉体アクション映画では、SFX処理は最小にしたい。
これが、観たあとの正直な感想である。
          *
「ダイ・ハード」後に、その作品を超えるのはかなり難しい。
しかし、25年も経った今、それに比肩する何某かの工夫が
あってしかるべきではないか。
SFXで派手な画面を作ることが工夫なら、それはいただけない。
ハリウッド映画がこれでよいのだろうか、とちょっと心配になる映画だった。
          

DVD 処刑の島 ☆☆☆

■ 1966年 大映 86分
■ 監督 篠田正浩
■ 原作 武田泰淳     ■ 脚本 石原慎太郎
■ 撮影 鈴木達夫     ■ 音楽 武満徹
■ 出演 三国連太郎
19 

スタッフの顔ぶれは、映画製作の意欲を感じさせはするが、
篠田正浩の才能が発揮されたフィルムとは言いがたい。
上滑りな印象の映画になっていた。
ただ、三国連太郎の演技だけは強烈な印象を残した。
              *
この時期(40歳前半)の三国は、とりわけ素晴らしい。
凄みがある。
生命力がみなぎっている。
おそろしい迫力がある。
誰かが、映画誌で、三国の映画で「にっぽん泥棒物語」を忘れ
るわけにはいかない旨のことを述べていた。
全く同感である。
             
65年の「飢餓海峡」(内田吐夢)「にっぽん泥棒物語(山本薩夫)
68年「神々の深き欲望」(今村昌平)
この三作品こそ彼の最良作だ。

ことし90歳で没したが、三国はフィルムの中に生きている。



DVD 宵闇せまれば ☆☆☆

■ 1969年 44分

■ 監督 実相寺昭雄 

■ 脚本 大島渚

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私にとって、実相寺昭雄といえば、「無常」(1970)や、「曼荼羅」(1971)や
「哥」(1972)をスクリーンで観たATG映画の監督であった。
               *
「宵闇…」は、それらの作品群に先んじるいわば密室映画である。
四人の大学生がアパートの一室に閉じこもり、ホースの先から出るガスに
誰が最後まで耐えられるのかを賭ける。
               *
当時の都会の大学生が感じた閉塞感。
それを打破しようとする大島の脚本。
後年の怪奇作品群を手掛けることになる実相寺のホラー的なショット。
               *
暑い夏の或る昼間にこそ、このDVDをみることをオススメしたい。
生理的にもたえがたい息くるしさが倍加し、密室映画を味わうには最もふさ
わしい環境条件だと得心できる。
そして、大島や実相寺や出演者たちに少しでも近づけるような気分になれる。
                   



DVD ボーダー ☆☆★

■ RIGHTEOUS KILL 2008年 アメリカ 100分

■ 監督 ジョン・アヴネット

■ 主演 ロバート・デニーロ  アル・パチーノ

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R・デニーロとA・パチーノの二大スター競演の映画。
二人の役どころは、ニューヨーク市警の相棒刑事。

「ヒート」(1995年 監督マイケル・マン)での二人は、
ギャング対ロス市警刑事という役柄だった。

この映画では、野放し状態の重犯罪者を狙う連続殺人者を
共同で捜査するバディの関係である。
そうなると、二人の対決シーンはないのだろうか。
それでは、面白味にかけるのだが…。
どっこい!それは、ちゃんと用意されているのだ。

筋立てなどそれなりの工夫はあるのだが、この映画の最大
の取り柄は、二大スターの競演という点だろう。
彼らの表情を見ているだけで満足という観客向作品、とは
言わないが、「ヒート」に比べると、‘男っぽいの世界’はや
や弱かった。

原題は、「RIGHTEOUS(正義の・公正な…) KILL(殺害・殺し…)」

似てるかな

盆休みに集まった子供や孫を、コンパクトデジタルカメラの動画で撮りました。
それをまとめたCDにイラストを貼りました。

孫が3人に増えた今年の夏です。
 

イラスト

DVD プラトーン ☆☆☆☆★

 PLATOON 1986年 アメリカ 120分

■ 監督・脚本 オリヴァー・ストーン

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戦場の生々しさを描いた傑作!


兵隊は容易に
負傷する。
死ぬ。
腐臭を放つ死体になる。

瞬間的な怒りと憎しみで
容易に殺すことが出来る。
敵兵を。
男も
女も
子供も含んだ
すべての村民を。
さらに
味方の兵士を。

これは過去のベトナム戦線での話であっても
いまなおも過去の話ではない。

戦慄と痛恨に満ちたO・ストーンの映画。










欲望のバージニア ☆☆☆★

 LAWLESS 2012年 アメリカ 116分 (ミリオン座)

■ 監督 ジョン・ヒルコート

■ 原作 マット・ボンデュラント

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禁酒法時代の三兄弟の、実話に基づいた物語だという。
原作者は、兄弟の末っ子ジャックの孫だという。
そのせいか、禁を犯して酒を造る兄弟たちは、ずいぶんと
ヒロイックな臭いが濃厚な映画である。

ジャックの視点から描かれてはいるが、彼の成長譚としては
やや弱い。それよりも、次兄フォレストのアウトローぶりが魅
力的に描写されている。

物語のクライマックスは、州境の橋での銃撃戦だ。
そこは、地理的な州の境目でもあり、州法が及ぶ境界線でも
あることを象徴する重要な場所ではないか。
LAWLESSな男たちが、法を超える場所の境界。
LAWLESSな男たちが、生き抜くために守るべき場所の境界。
私にはそのように感じられて、面白かった。

フォレスト役のトム・ハーディと、
フロイド役のゲイリー・オールドマンの存在感が光る快作。


映画 最愛の大地 ☆☆☆☆


■ IN THE LAND OF BLOOD AND HONEY 2011年 アメリカ 127分 (ミリオン座) 
 

■ 監督・脚本・製作 アンジェリーナ・ジョリー 


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ボスニア・ヘルツェゴビナの1992年から始まる物語。

セビリア軍兵士によって、射殺されるムスリム系の男たち。

そして、性暴行を繰り返されるムスリム系住民の女たち。

彼らは、徹底的に蹂躙される。


A・ジョリーが描こうとしたのは、その惨状そのものである。

執拗なまでに、シリアスなタッチで描写される兵士の暴虐。


元恋人同士の、ムスリム系の女画家と、ボスニア将校との、

戦時下での性愛ドラマがそれに絡むストーリなのだが、

圧殺場面のあまりにも鮮烈なため、ドラマの部分は希薄になる。


しかし、それはそれで仕方のないことだ。

このA・ジョリーの映画の価値を少しも損ねてはいない。

むしろ高めることにつながっているとみるべきだろう。
                    










DVD 北の国から 83’冬~2002遺言 ☆☆☆☆

   
 放映時間 総計 24時間57分(1497分)
    83’冬(91分) 84’夏(91分) 87’初恋(119分) 89’帰郷(133分)
    92’巣立ち(288分) 95’秘密(185分) 98’時代(310分) 2002遺言(280分)
 脚本 倉本 聰
 演出 杉田成道
 出演 田中邦衛 吉岡秀隆 中嶋朋子

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ホン(脚本)の力と 出演者の実年輪とが
幸福な出会いを果たすことのできたドラマだ。


壮大な構想を持った倉本のホン。

身が千切れるような寒風や、叩きつける雨雪や、
臭いを放つ牛舎や、むせかえるようなごみ収集作業や、
数え上げれば限のないほど多くの過酷なロケ。
それを正面から受け止め、演技する役者たちの21年間。


かくして 伝説的なテレビドラマが誕生したのだ。




DVD 北の国から ☆☆☆☆★


          
■ 北の国から 1981年10月~82年3月放映 フジテレビ 24話 18時間24分

■ 脚本 倉本 聰 

■ 出演 田中邦衛 吉岡秀隆 中嶋朋子

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題名は知っていたが、これまで一話もみたことのないTVドラマだった。

放映後30余りの年月が過ぎた作品の全24話を一気に観た。


作り手たちのエネルギーがほとばしるドラマであり、渾身の想いが凝縮された

テレビ作品としては希有で、出色のドラマだった。


滑稽でもあり、哀しくもあり、寡黙でもあり、雄弁でもあり、たくましくもある

人間を描いて余すところがない、今なお新鮮な、1,108分の長尺ドラマだった。