今年の映画 2012

【日本映画】

■ KOTOKO 

■ ニッポンの嘘~報道写真家 福島菊次郎90歳~ 

■ 桐島 部活やめるってよ

■ その夜の侍

■ ポテチ

【外国映画】

■ 最強のふたり

■ 灼熱の魂

■ 情熱のピアニズム

■ ザ・レイド

■ 家族の庭

■ ビースト・ストーカー 証人

■ 無言歌

■ 裏切りのサーカス

■ アニマル・キングダム

■ ニーチェの馬

DVD ぼくのエリ 200歳の少女 ☆☆☆☆★

■ LAT DEN RATTE KOMMA IN 2008年製作 スウェーデン 115分

■ 監督 トーマス・アルフレッドソン

■ 原作・脚本 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト 『モールス』

■ 撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ 

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         (左がエリ 右は少年オスカー)

ぞくぞくするような斬新な美しさをもった映像が、

異形者(バンパイヤ)の哀しみを鮮やかに描く傑作!

自分が殺される場面で、甘んじて殺されるのか。 

それとも相手を殺し、生きのびるのか。

「裏切りのサーカス」の監督アルフレッドソンは、静かに鋭くその問題を提示する。

耐えがたい怒りと哀しみにあふれる時、エリの体から吹き出してくる血。

それは、まぎれもなく、人間と同じ赤い血なのだ!

 

 

DVD 八月の鯨 ☆☆☆★

■ THE WHALES OF AUGUST 1987年製作 アメリカ 91分

■ 監督 リンゼイ・アンダーソン

■ 主演 リリアン・ギッシュ ベティ・デイヴィス

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若き日に夏の海で見た鯨を、再び見たいと願って…。

物語は、人生のたそがれを迎えたふたり姉妹の3日間を描く。  

                *             

主演のリリアン・ギッシュ。1893年生まれ。

DVDでみたD・W・グリフィス監督の「散りゆく花」(1919年)も、C・ロー

トンの「狩人の夜」(1955年)。いずれも忘れがたい演技だった。

                 *

一方の主役ベティ・デイヴィス。1908年生まれ。

同じくDVDでだが、J・L・マンキウィッツの「イヴの総て」(1950年)、R・ア

ルドリッチの「何がジェーンに起ったか?」(1962年)。存在感が凄かった。

                *

そして、監督のリンゼイ・アンダーソン。1923年生まれ。

私には忘れられない映画監督だ。

1964年の高校生時代、読書家の友人Mに名古屋の名作上映館「名宝文化」

の存在を教えられ、興味に任せて入り、そこで初めて観た映画が「孤独の報酬」

(1963年)だった。

炭坑夫を辞め、ラグビー選手に転身する粗野な男と、美しい未亡人との悲恋。

ザラついたモノクロ画面が延々と描くのは、暗く、孤独な物語。

 映画は娯楽だ、と思い込んでいた当時の私の頭を痛打するのには十分だった。

笑いも冒険もサスペンスもないが、何か惹かれるものがある。

が離せないもの、感じさせるものがある。それも映画なのだ。

そんな啓示めいたものを、与えた映画が「孤独の報酬」だった。

当然ながら、その題名と、監督名と、主演名を記憶した。

監督リンゼイ・アンダーソン。主演男優リチャード・ハリス。強く記憶した。

                 *

私にとってそのような思い出のある監督が、1987年に描いた「八月の鯨」。

描かれたものは、癇癪を起こしながらも、いつまでも変わらぬ姉妹の憧れと、

思い出の美しさだった。

人間の年老いてゆく美しさだった。

 

 

 

映画 のぼうの城 ☆☆☆★

■ 145分 (イオンシネマワンダー)

■ 監督 犬童一心   樋口真嗣

■ 原作・脚本 和田竜

■ 出演 野村萬斎 上地雄輔 佐藤浩市   

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本格的な娯楽時代劇としては、上々の映画だ。

和田竜の原作が、なんといっても面白い。

奇策の面白さ。主人公成田長親のキャラクターの面白さ。

それが、この映画の魅力である。

長親は、天然の阿呆でありながら、誰も思わぬ奇略を思いつく男だ。

演じるのは、野村萬斎。

萬斎は、計算の出来るインテリといった印象があり、奇策を計る智者の面を出す

には適役である。

しかし、天然の阿呆という主人公にふさわしかったか、どうか。

台詞回しの歯切れの良さ、小舟の上での狂言芝居のうまさには、唸ってしまうほ

どなのだが…ちょっとひっかかるのを感じてしまった。

それでも、ともかく、この映画の公開を喜びたい。

大水で死んだ女・子どもが流れ着く重要なシーンを外せぬ映画であるために、

東北の災害のイメージと重なり、やむなく封切を延期されてきたのだが、やっと

公開されたのだから。

後味のよい時代劇映画なのだから。


 

DVD 新少林寺 ☆☆★

■ SHAOLIN 2011年製作 香港/中国 131分

■ 監督 ベニー・チャン

■ 出演 アンディ・ラウ ニコラス・ツェー ジャッキー・チェン ユエ・ハイ

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アクション映画は、若い者たちが演じてこそ、真に輝く。

この「新少林寺」が凡作にとどまるのは、その要諦を見事に外したからだ。

50歳のアンディ・ラウでは無理なのだ。57歳のジャッキーも辛い。

映画「少林寺」(1982年)や「少林寺2」(83年)を思い出してみるとよい。

あの映画を観て胸が躍るのは、主役が驚くべき身体能力を披露できたためだ。

主役-当時19歳の李 連杰(英名ジェット・リー)が、見せる超人的な身のこなし。

呆然と、惚然と、そして茫然とさせる彼ならではの鍛錬が生み出した武闘技。

演じる者の「旬」とも云うべきふさわしい年齢-(身体能力なら若さだ)-が

映画の魅力の重要な要素として存在する。

しかし、この「新少林寺」にあるのは、建物を派手に爆破する轟々たる音と、

陳腐で、安易で、調和的な物語のために倒れた僧侶たちの姿だった。

そう思うと、残念でならない。

DVD ゴーン・ベイビー・ゴーン ☆☆☆☆★

■ GONE BABY GONE 2007年製作 劇場未公開 アメリカ 114分

■ 監督・脚本 ベン・アフレック

■ 原作 デニス・レヘイン

■ 出演 ケイシー・アフレック  モーガン・フリーマン  エド・ハリス

      エイミー・ライアン  エイミー・マディガン

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日本の劇場では未公開である。しかし、まぎれもない傑作だ!

ベン・アフレックが監督した処女作。映画の主役は、ボストンの町である。                

               *

ボストンの下町の風景、暮らす人々の点景、そして、起こる幼女誘拐事件。

ボストンに住む素人出演者と、大物俳優陣とをリアルな演出で融合させる

アフレックの見事な手腕は、観る者を物語の中にぐいっと引き込むのだ。

              *

やがて、映画を見終えた観客は、誰もが考え込まざるを得ない。

ケイシー・アフレックの演じる探偵のような行為に、果たして共感を持てるのか。

示されるテーマは、強く、重い衝撃力をもって迫ってくるようだ。

「ゴーン・ベイビー・ゴーン」は、それほどの作品である。

映画 007 スカイフォール ☆☆☆☆

■ SKYFALL イギリス/アメリカ 143分 (MOVIX三好) 

■ 監督 サム・メンデス

■ 脚本 ニール・パーヴィス ロバート・ウェイド ジョン・ローガン

■ 出演 ダニエル・クレイグ ジュディ・デンチ ハビエル・バルデム

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アクションでの一番の見所は、冒頭のオートバイのカーチェイス。

何しろ、イスタンブール・バザールの長い屋根をバイクで疾駆するのだ。

スピード感が文句のない一級品!

                 *
肝心の悪役もいい。

非情でありながら、奇妙な人なつこさも感じさせる元情報員のラウル。

復讐心と、破滅願望を秘めた複雑な男。

ハビエル・バルデムの怪演ぶりも見所。

                 *

脚本がクール!

これまでの007では描かった視点からのドラマであり、新鮮さを覚えた。

「新旧交代」と、ボンドにつぶやかせるセリフは意味深長で素敵だった。



       

十二神将    (本日のはんこ 其の十四)

新薬師寺で拝観した十二神将ー。

その姿はどれも勇壮でありました。

恐れ多いとは知りつつも、勇姿に魅せられ、消しゴムはんこにしてみました。                                

          
                   

     伐折羅(ばさら)            因達羅(いんだら)

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     実像高162.9㎝           実像高155.2㎝ 

     (はんこ5.0㎝)            (はんこ4.5㎝) 



映画 愛の渇き ☆☆☆★

■ 1967年製作 99分 (名演小劇場 日活創立100周年記念 特別企画上映)

■ 監督 蔵原惟繕

■ 助監督 藤田繁矢 

■ 脚本 藤田繁矢 蔵原惟繕

■ 出演 浅丘ルリ子 石立鉄男

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封切りから45年の時間を経た日本映画を観る。

原作は三島由紀夫の小説。

脚本が蔵原と藤田の共作。

浅丘ルリ子27歳。石立鉄男25歳。

パートカラーを使用した斬新な映像もさることながら、

ともかく、主演の2人が素晴らしい。

あの時期の浅丘と石立が、ヒロイン悦子と若者三郎を演じなければ、

この映画は、これほどまでに魅力的な輝きを、持ち得なかったのではないか。

男を引き付ける美貌をもちながら嫉妬に苦しむ悦子の精神と、

何を考えているのか計りがたい青年のもつ生々しい肉体と、

そして、土に埋もれた塑像の女神とが、いつまでも観る者の心に残って…。




     

DVD シャンハイ ☆☆☆

■ SHANGHAI 2010年製作 アメリカ 105分

■ 監督 ミカエル・ハフストローム

■ 出演 ジョン・キューザック  コン・リー  チョウ・ユンファ 渡辺謙

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太平洋戦争開戦前夜の上海を舞台にしたドラマである。

しかし、物語の息詰まるような展開を期待するより、

出演するスターたちの演技を楽しむ映画だと云ってよい。

              *

さて、この四人の中で、最も貫禄があるのはだれか。

それは、間違いなくコン・リーである。

人妻でありながら、隠れた抗日分子の一人という役柄なのだが、

実年45歳のコン・リーは、輝き匂うばかりの妖艶さがあり、じつに魅惑的。

主役級の3人の男が束になっても、とうてい及ばないほどである。

つまり、この映画はコン・リーのための映画なのだ。

それほど、彼女は美しい!