映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ ☆☆☆

■ 2017年 108分 (シネマスコーレ)
■ 監督 石井裕也
■ 原作 最果タヒ
■ 脚本 石井裕也
■ 撮影 鎌苅洋一
■ 音楽 渡邊崇

 180222.jpg



 

映画 早春 ☆☆☆☆

■ 1970年 イギリス/西ドイツ 92分
         
(名古屋シネマテーク)
■ 監督 イエジー・スコリモフスキ
■ 脚本 イエジー・スコリモフスキ
       J・クルーザ
       B・スリク
■ 撮影 チャーリー・シュタインバーガー
■ 音楽 キャット・スティーヴンス
■ 出演 ジョン・モルダー=ブラウン
  
    ジェーン・アッシャー 

      180209.jpg

マイクはロンドンに住む15才
性に目覚める少年。

スーザン23才
同じ公衆浴場で働く娘。
婚約者もいる。

さて、マイクの想いは通じるのか?
ふたりは結ばれるか?

色彩を生かした映像と
主役ふたりの美しい裸体が
この映画を瑞々しくも残酷な作品に
している。

映画の結末をだれが予測できただろう。
青春の美しくもディープなエンドを。

青春映画の傑作!




映画 スリー・ビルボード ☆☆☆☆

■  THREE BILLBOADS OUTSIDE EBBING, MISSOURI
   
2017年 イギリス/アメリカ 116分

          (ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督 マーティン・マクドナー
■ 脚本 マーティン・マクドナー
■ 撮影 ベン・デイヴィス
■ 音楽 カーター・バーウェル
■ 出演 フランシス・マクドーマンド


  180203.jpg

公開第1週目の土曜日にしては、私
の入った上記映画館の観客は多くな
かった。

物語は幸福な内容のものではないし
人気スターの出演もないし
テレビで予告スポット映像も流されない。
地味な映画だと多くの人は思っている。
いやその映画の上映すらも知らない。

しかし、「スリー・ビルボード」は一
見の価値を十分に備えたなかなか興味
深い優れた映画なのだ。

主人公ミルドレッドの人物像がいい。
(世間に阿らず他人を傷付けてでも自
己を貫き、自ら危険に身を投じること
など当たり前のとても嫌な女。
それでいて強くも弱くもあり、思い切
りもあり未練もあり、カッカする感情
屋で冷徹な行動者)

マクドーマンドの演技がとてもいい。
(人を疑い侮蔑するような目付きや
なんだよォとも言いたげな首の傾げ
方、皮肉たっぷりな口元の表情など
で全身で嫌味な侮れない人物を巧み
に表現)

脇役の人物、その役者たちがいい。
(主人公の息子・別れた夫・低身長
の男・暴力警官・その母親など)


脚本がいい。
(事件の探求・登場人像の実在感・
米中部の町の雰囲気・映画としての
ラストシーンの在り方など)


2時間を全く退屈しないスリリングな
映画だった。



NHK BS この首一万石 ☆☆☆

■ 1963年 東映 93分
■ 監督 伊藤大輔
■ 脚本 伊藤大輔
■ 撮影 吉田貞次
■ 美術 桂長四郎
■ 音楽 伊福部昭
■ 出演 大川橋蔵 大坂志郎 堺駿二
              江利チエミ 水原弘

  konokubi.jpg

権三が槍で大暴れをするシークエンスは
本作の圧巻である。

時代劇では槍を使った殺陣は特段珍しい
というわけでもない。
しかし、L字形の刃先を持つ片鎌槍での
剣劇はこの映画で初めて見た。

これを振り回せば、大立ち回りどころで
はない。刃傷の場は忽ち血みどろの修羅
場と化す。

吉田貞次のカラー撮影がその凄惨な様を
真っ赤な血と、斬られた男たちの断末の
形相とで執拗に描く。

権三を殺そうと襲い掛かった侍は、横に
払った片鎌槍で脛を切断されて蹲り、

別の侍は、口腔を真一文字に裂かれた
途端に、斬られたことが信じられない
というように目を剥いて卒倒し、

また他の侍は、斬撃のはずみで藍壺へ
頭を突っ込み、そこから抜け出た瞬間
槍に首を斬られて、濃藍色でどろどろ
の喉元をパッと朱に染める。

その他、槍で戸板ごと貫かれる者や、
仲間の侍の刀で誤って顔を斬られて
絶叫をあげながら絶命する者などが
続出する。

身震いするほどの残酷美の映像の連続。
それに被る恐ろしげな伊福部昭の音楽。


あの忠治旅日記を創った監督伊藤大輔
65歳の(たぶん隠れた)傑作である。


WOWOW 北陸代理戦争 ☆☆☆

■ 1977年 東映 98分
■ 監督 深作欣二
■ 脚本 高田宏治
■ 撮影 中島徹
■ 音楽 津島利章
■ 出演 松方弘樹 西村晃 ハナ肇 
         千葉真一 野川由美子 地井武男
      伊吹吾郎 矢吹二朗 遠藤太津朗
      成田三樹夫 牧冬吉 曽根将之
      片桐竜次 小林稔侍 中谷一郎
      天津敏 織本順吉 中原早苗
      高橋洋子


hokurikudairi.jpg 

最後まで歯切れのよいテンポで展
開する本作は、凄さの点でも「沖
縄やくざ戦争」を上回る。

役者をイノチガケにさせる演出は
深作欣二ならではのものだろう。

例えば、安本富蔵役の西村晃など
は、日本海からの寒風が吹き荒ぶ
雪積る原っぱに全身を埋められて
頭だけを突き出している。
命乞いの声を張り上げるが、松方
らの一派は、嘲り笑いながら首す
れすれにジープを走らせる。

役者をこんな過酷な状態に置き、
危険この上ない撮影を行うこと
ができるのは、東映実録作品だ
けだろう。

全くの推測だけれど(あのベテラン
の西村さんさえ演っているのだから
オレたちもやらんわけにはいかん)
と、他の俳優陣も思ったのではなか
ろうか。
役者たちの腹をくくった捨て鉢的な
演技が、恐ろしいほどのリアリティ
をこの映画に与えている。


映画に身体を張る!
この作品は、「仁義なき戦い」を
経た後にもなお深作組のクルーが
映画屋根性の凄さを発揮した傑作
である。


WOWOW 沖縄やくざ戦争 ☆☆☆

■ 1976年 東映 96分
■ 監督 中島貞夫
■ 脚本 高田宏治
      神波史男
■ 撮影 赤塚滋
■ 音楽 広瀬健次郎
■ 出演 松方弘樹 千葉真一  渡瀬恒彦
   梅宮辰夫 室田日出男 矢吹二朗 
      尾藤イサオ  南道郎 志賀勝 片桐竜次
   曽根将之  成田三樹夫 織本順吉
   地井武男  新藤恵美 中島葵  

     


okinawayakuza.jpg

当時の沖縄で起きたやくざ抗争を
基にした、東映得意の実録映画だ。

縄張り、面子、離合集散、銃火器を
重要なファクターとして、東映の俳
優陣がまさに身体を張って演技する。

特に、国頭正鋼を演じた千葉真一。
嘉手刈宏役の渡瀬恒彦。
この二人の肉体の躍動はほんとうに
素晴らしい。

やくざの下っ端役の俳優たちが、無茶
なアクションシーンを、やけくそ感いっ
ぱいに(しかもたぶん喜々として)演じ
ているさまもとてもいい。


映画 ジュピターズ・ムーン ☆☆

■ JUPITER HOLDJA 2017年 128分
   ハンガリー/ドイツ (センチュリーシネマ)
■ 監督 コルネル・ムンドルッツォ
■ 脚本 カタ・ヴェーベル
■ 撮影 マルツェル・レーヴ
■ 音楽 ジェド・カーゼル
■ 出演 メラーブ・ニニッゼ
       ギェルギ・ツセルハルミ
       ジョンボル・イェゲル
       モーニカ・バルシャイ

  180127.jpg

撮影が素晴らしい。
それこそが、この映画の全てである。

とりわけ、冒頭のハンガリー沼地での
シリア難民の逃走シーンは驚異的だ。
そのシーンを観るだけでも価値がある。

ただし、脚本は、医療ミス・国境問題・
安楽死・テロリズム・難民排除など喫緊
の問題を盛り込んでいるが、話のつなが
りが場当たり的で散漫な感がある。

味のある俳優たちが出演し、見事な撮影
センスと技術が光る作品だけに、90分
くらいの長さで、異色の天使の出現を鋭
く描いてほしかった。


DVD わたしは、ダニエル・ブレイク ☆☆☆

■ I,DANIEL BLAKE 2016年 100分
        イギリス/フランス/ベルギー 
■ 監督 ケン・ローチ 
■ 脚本 ポール・ラヴァーティ
■ 撮影 ロビー・ライアン
■ 音楽 ジョージ・ヘェントン
■ 
出演 デイヴ・ジョーンズ

180123.jpg




DVD 鞄を持った女 ☆☆☆

■ LA RAGAZZA CON LA VALIGIA
  1961年 イタリア 122分
■ 監督 ヴァレリオ・ズルリーニ
■ 脚本 ヴァレリオ・ズルリーニ
       レオ・ベンヴェヌーティ
     ピエロ・デ・べルナルディ
■ 撮影 ティーノ・サントーニ
■ 音楽 マリオ・ナシンベーネ
■ 出演 クラウディア・カルディナーレ
       
ジャック・ペラン

 1801152.jpg

カルディナーレが演じるアイーダは
輝くように美しく蠱惑的である。

アイーダは
奔放と
純情と
自己防衛と
多情とが同居する女性のようで
つかみどころがなくて
そのため、いっそう魅力的だ。




当時23歳のカルディナーレは
まぶしいまでに美しい。

同年には
フェリーニの「81/2」
ヴィスコンティの「山猫」
に出演してる。

本作「鞄を持った女」を含め
カルディナーレが表す若い美しさは
1961年の映画群によって世界に印象付けられた。
私はそう思う。





DVD 激しい季節 ☆☆

■ ESTATE VIOLENTA 1959年 イタリア 93分
■ 監督 ヴァレリオ・ズルリーニ
■ 脚本 スーゾ・チェッキ・ダミーコ
       ジョルジオ・プロスぺリ
       ヴァレリオ・ズルリーニ
■ 撮影 ティーノ・サントーニ
■ 音楽 マリオ・ナシンベーネ
■ 出演 エレオノラ・ロッシ=ドラゴ
      ジャン=ルイ・トランティニャン

  180116.jpg

ズルリーニの名は、若い頃に観た「家族日誌」
(62年)で知った。
その映画の印象は、今でも憶えていて、戦争の
哀しみをしみじみと描いた良作だった。
(ぜひもう一度観たい。DVD化を渇望)

「激しい季節」は、ズルリーニ監督の処女作である。
物語の背景には、戦争が横たわり、重ねて愛欲の止め
られない切なさを描いている。

二人を乗せた列車をドイツの爆撃機が襲いかかる。
耳を劈く炸裂音。
機銃掃射。
逃げ惑う乗客たちの群れ。
血にまみれて横たわる人間。

夫には見出せなかった恋心を燃やして、身体を重ねる
未亡人ロッシ・ドラゴ。
その美しさの輝き。
どうしようもない情念の激しさ。


映画 バーフバリ 王の凱旋 ☆☆☆☆

■ BAHUBALI 2 2017年 インド 141分
   (ミッドランドスクエアシネマ) 
■ 監督 S・S ・ラージャマウリ
■ 脚本 S・S・ラージャマウリ
■ 撮影 K・K・センティル・クマール
■ 音楽 M・M・キーラヴァー二
■ 出演 プラバース


  180114.jpg

2時間半をあれよあれよと楽しんで
過ごせる傑作活劇インド映画だった。

歌あり
踊りあり
奇想天外のアクションありの
シネマオペレッタである。


巨大な象が雄叫びを上げ
人間どもが何度も空に舞い
インド太鼓がリズムをきざむ
娯楽満載の映画の極致!


正月早々こうした映画に出合って
とても幸福な気分になった。


DVD 黒の魂 ☆☆☆☆

■ 2014年 イタリア/フランス 103分
■ 監督 フランチェスコ・ムンズィ
■ 脚本 フランチェスコ・ムンズィ
       ファブリツィオ・ルジレッロ
      マルリツィオ・ブラウッチ
■ 撮影 ヴラダン・ラドヴィッチ
■ 音楽 ジュリアーノ・タヴィアーニ
■ 出演 マルコ・レオナルディ
       ペピーノ・マッツォッタ
       ファブリツィオ・フェラカーネ 

kurotama.jpg  

南イタリアのマフィアの家族。
その悲劇の様が蒼く沈んだ画調で描かれる。

父親を敵のマフィア一家に殺害された三兄弟
の生き方と考え方の違い。

屈従と復讐心を同居させながら
安息を手に入れたいがために
過去を忘れようと欝々と生きるか

血で奪ったものには、必ず血で贖わせるため
若者を焚き付けてでも、報復に走るか


やがて、決定的な悲劇が。


長男ルチャーノの最期にとった行動は
あまりにも沈痛で重く
深く頭を垂れるより他はない。


「ゴッド・ファーザー」をも凌駕するほどの
イタリア抗争映画の傑作!
と云っても大げさではないだろう。




 

映画 勝手にふるえてろ ☆☆☆

■ 2017年 117分
 
(ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督 大九明子
■ 原作 綿矢りさ
■ 脚本 大九明子
■ 撮影 中村夏葉
■ 音楽 高野正樹
■ 出演 松岡茉優  
 




20171229.jpg

良香のキャラクターの面白さが
この映画の見どころといってよ
いだろう。

原作、脚本、撮影、監督すべて女子。

コミカルでナイーブでポジティブ。

思わず声を掛けたくなる映画。
妄想と現実の狭間をずぅーと走っていけ。ヨシカ!



DVD 日本で一番悪い奴ら ☆☆☆

■ 2016年 135分
■ 監督 白石和彌
■ 原作 稲葉圭昭
■ 脚本 池上純哉
■ 撮影 今井孝博
■ 音楽 安川午朗
■ 
出演 綾野剛

201712273.jpg  

映像の躍動感が素晴らしい。

2013年の
「凶悪」でその名を
知らしめた監督白石和彌。

アウトローの人間を描いて、観
る者を震撼させる才能は貴重だ。

来年5月12日公開の最新作「孤
狼の血」の封切りが待ち遠しくて
たまらない。


DVD 聖の青春 ☆☆

■ 2016年 124分
■ 監督 森義隆
■ 原作 大崎善生
■ 脚本 向井康介
■ 撮影 柳島克己
■ 音楽 半野喜弘
■ 出演 松山ケンイチ
       東出昌大
       リリー・フランキー

 201712263.jpg   

二人の天才棋士。
村山聖 1969年生まれ

羽生善治 1970年生まれ

命を削る将棋の勝負。

1998年NHK杯決勝。
最終盤での聖の痛恨の悪手。
同年8月聖病没。

松山ケンイチの身体を張った演技
は見応えがある。
演出が凡庸なのが惜しまれる。


DVD 共喰い ☆☆☆☆

■ 2013年 102分
■ 監督 青山真治
■ 原作 田中慎弥
■ 脚本 荒井晴彦
■ 撮影 今井孝博 
■ 音楽 山田勲生
      青山真治  
■ 出演 菅田将暉
         立石健  
      田中裕子


20171225.jpg

 
畏るべし! 監督青山真治

    
 

映画 動くな、死ね、甦れ! ☆☆☆☆☆

■ ZAMRI,UMRI,VOSKRESNI! 1989年 ロシア 105
               (名古屋シネマテーク)
■ 監督 ヴィータリー・カネフスキー
■ 脚本 ヴィータリー・カネフスキー
■ 撮影 ウラディミール・プリリャコフ
       N・ラズトキン
■ 音楽 セルゲイ・パネヴィッチ



  17121700.jpg

なんと驚くべき映画か!

17121701.jpg


これまでの映画観を一変させるほどの衝撃。


映画 エンドレス・ポエトリー ☆☆☆☆

■ POESIA SIN FIN 2016  フランス/チリ/日本
  
128 (センチュリーシネマ)
■ 監督 アレハンドロ・ホドロフスキー
■ 脚本 アレハンドロ・ホドロフスキー
■ 撮影 クリストファー・ドイル
■ 音楽 アダン・ホドロフスキー
■ 衣装 パスカル・モンタンドン
■ 出演 アダン・ホドロフスキー
  
    パメラ・フローレス

     1712112.jpg

演劇でもなく
音楽でもなく
小説でもなく
映画だけが成しえる映像の奇想。

詩的イメージの連続でつづられる
あふれる生への賛歌。

1712111.jpg


ホドロフスキーの映画は
あまりにも素晴らしく、
スクリーンを見つめながら
わたしの身体はふるえた。



映画 密偵 ☆☆☆

■ 2016年 韓国 140分 (センチュリーシネマ)
■ 監督 キム・ジウン
■ 脚本 イ・ジミン
       パク・ジョンデ
■ 撮影 キム・ジオン
■ 音楽 モグ
■ 出演 ソン・ガンホ
       コン・ユ
       鶴見辰吾
     オム・テグ 
 171120s2.jpg


この映画を娯楽作品として観たとし
たら、日本の観客は複雑な思いに
とらわれるだろう。



1920年代の日本統治下を描く韓国
映画だから日本国軍部および警察
は悪役。

その日本警察の密偵として行動す
る朝鮮人の男ジョンチル(ソン・
ガンホ)は売国奴。

朝鮮独立武装組織、義烈団の地域
リーダーのウジンたちは英雄的集
団。

話は、密偵者の葛藤を中心に、密
偵同士の思惑の違い、義烈団内部
の裏切り者は誰かを探るサスペン
スを絡ませるなど飽きさせない展
開をみせる。

映画の冒頭の瓦屋根を駆け走るア
クションシーンで引き込み、その
後のストーリーも快調なテンポで
進む。

出演者たちもいい。
特にいいのが主役の密偵者と対立
するハシモト役のオム・テグ。
1711203.jpg
非情な表情としぐさで酷薄な男を
演じてとてもクール。



しかし
印象に強く焼き付くのは日本警察の
拷問の惨虐ぶりだ。

それは同時に、娯楽映画の域を超え
たリアルさで拷問を描く映画の作り
手たちの裏にある或る思惑、または
意思の強さが反映してのことだ、と。

思惑とは、韓国の観客たちへの阿り。
意思なら、加害国への抗議と批判。


それにしても
「気の重くなる娯楽映画」
とでも云えばよいのだろうか。

日本統治時代の(韓国の人にとって

の)母国を描く映画は、日本の観客
をこれからも複雑な思いにさせ続け
るのだろうか。

たとえそうであるとしても、韓国映
画は観る者を引き寄せる魅力をその
内部に秘めているように思われる。


 

映画 彼女がその名を知らない鳥たち ☆☆☆☆

■ 2017年 123分
 (ミッドランドスクエアシネマ2)

■ 監督 白石和彌
■ 原作 沼田まほかる
■ 脚本 浅野妙子
■ 撮影 灰原隆裕
■ 音楽 大間々昂
■ 
出演 蒼井優  阿部サダヲ

171117.jpg

陣治の最期の願いは
十和子にほんとうに届いたのだろうか。

飛び立つ無数の鳥たちの羽ばたきは
十和子の新しい歩みを祝すためか
それとも
たださよならを告げただけなのか
それとも
これまでのありがとうの挨拶だったか

それとも
それとも
それとも



白井監督の演出は冴えている。
人の抑えられない欲望や衝動、ずるさ
いい加減さを遠慮なく描き切る。

蒼井優の十和子、阿部サダヲの陣治の
圧倒的な存在感。
それは役者の力か。
監督の力か。
その両方だろう。



ラストの回想シーンがいささか長め
だった点を除けば、久々に最後まで
人間の不気味さを見せ続ける胆力の
ある映画だった。


映画 ブレードランナー 2049 ☆☆☆

■ BLADE RUNNER 2049 
  2017年 アメリカ 163分
   (ミッドランドシネマ名古屋空港)

■ 監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
■ 原案 ハンプトン・ファンチャー
■ 脚本 ハンプトン・ファンチャー
       マイケル・グリーン
■ 撮影 ロジャー・ディーキンス
■ 音楽 ハンス・ジマー
       ベンジャミン・ウォルフィッシュ
■ 出演 ライアン・ゴズリング
       ハリソン・フォード
       アナ・デ・アルマス
       
ショーン・ヤング


 171106.jpg
                  
映像の華麗さにおいては
35年前に創られた「ブレードランナー」を凌ぐ。

レプリカントの哀しみを痛切に描いた1982年
作品は、造形美の斬新さとともに、生身の人間と
はどのような存在かを鋭く逆射する映画だった。

本作はその未来版であり、異質な他者とのせめぎ
合いを主旋律にして、種の保存を延々と描く映画
だと云えよう。


私には82年版ほどの胸に迫るものを感じなかっ
た。
それは単に、上映時間の長さのせいだけではなく
ハリソン・フォード演じるテッカードを登場させ
たことで、作品の広がりを損ねたためではないか
と思う。


映画 ドリーム ☆☆☆☆

■ HIDDEN FIGURES 2016年 アメリカ 127分
                  (ミリオン座)
■ 監督 セオドア・メルフィ
■ 原作 マーゴット・リー・シェッタリー
■ 脚本 アリソン・シュローダー
       セオドア・メルフィ
■ 撮影 マンディ・ウォーカー
■ 編集 ピーター・テッシュナー
■ 音楽 ハンス・ジマー
      ファレル・ウィリアム
       ベンジャミン・ウォルフィッシュ
■ 出演 タラジ・P・ヘンソン
       オクタヴィア・スペンサー
      ジャネール・モネイ


1710301.jpg


17103012.jpg

黒人女性3人組の活躍ぶりが真直ぐに伝わってくる。
愛らしさや毅然とした生き方が、とてもまぶしい。
アメリカ人の切り拓く精神が生き生きとあふれている。

特筆すべきは、人物のキャラクター、音楽の使い方
そして歯切れのよい編集。
この映画をここちよいリズムのある作品にしている。

映画の邦題は、安易で平凡で陳腐でどう仕様もないけど
原題「HIDDEN FIGURES」には、ほぅと感じ入った。



映画 笑う故郷 ☆☆☆☆

■  EL CIUDADANO ILUSTRE 原題「不都合な市民」
   2016年 アルゼンチン/スペイン 117分
               (シネマスコーレ)
■ 監督 マリアノ・コーン
      ガストン・ドゥプラット
■ 脚本 アンドレス・ドゥプラット
■ 撮影 マリアノ・コーン
     ガストン・ドゥプラット
■ 音楽 トニ・M・ミル
■ 出演 オスカル・マルティネス

  171029.jpg

    脚本が最高!  


 
   

映画 サーミの血 ☆☆☆☆

■ Sameblod 2016年 108分
  スウェーデン/ノルウェー/デンマーク
  
     
 (センチュリーシネマ) 
■ 監督 アマンダ・シェーネル
■ 脚本 アマンダ・シェーネル
■ 撮影 ソフィア・オルソン
      ぺトリュス・ショーヴィク
■ 
音楽 クリスティアン・エイドネス・アナスン

    1710101.jpg


    レーネ=セシリア・スパルロク
  1710102.jpg

    ミーア=エリーカ・スパルロク
  1710103.jpg

    マイ=ドリス・リンピ
  1710104.jpg

    
 3人の出演者が素晴らしい。

     今年必見の傑作!





映画 NEW シネマ歌舞伎 四谷怪談 ☆☆

■ 2016年 松竹 118分 (ミッドランドシネマ名古屋空港) 
■ 監督(舞台の演出・美術も) 串田和美
■ 出演 中村獅童 伊右衛門
      中村勘九郎 直助
       中村七之助 お袖
       中村扇雀 お岩 

       
      171007.jpg
 
感心したのは歌舞伎役者のタフネスだ。

連続した動作を操る持続力ある身体。
腹の奥から響かせる朗々とした声。
壊れるかと思うほどの歌舞く顔面。

歌舞伎は桟敷で実際に観る芸術だと得心。
高い入場券を払ってもいつかこの目で見てみたい。


映画 スイス・アーミー・マン ☆☆

■ SWISS ARMY MAN 2016 スウェーデン/アメリカ 97分
             (センチュリーシネマ)  
■ 監督 ダニエル・シュナイナート
       ダニエル・クワン
■ 脚本 ダニエル・シュナイナート
       ダニエル・クワン
■ 撮影 ラーキン・サイプル
■ 音楽 アンディ・ハル
       ロバート・マクダウェル


  1709281.jpg


ハンクはどうして無人島にいたのか。
死体の青年はどこからどう流されてきたか。

その原因や経緯はこの映画ではどうでもよい
ことであるらしい。

死体はハンクにとってどんな存在なのか。

映画の作り手たちはそれを伝えたいようだが
死んだ人をアーミーナイフのように扱う発想
と映像を延々と見せられると、ハンクの苦悩
に共感するどころではなく、言いようのない
不快感が突き上げてきた、というのが正直な
ところである。

私はこの映画の何かを見落としているのか。
そんな疑問が生じた作品だった。

DVD ジプシーのとき ☆☆☆☆

■ DOM ZA VESANJE 1989年
   ユーゴスラビア 126分
■ 監督 エミール・クストリッツァ
■ 脚本 エミール・クストリッツァ
      ゴルダン・ミヒッチ
■ 撮影 ヴィルコ・フィラチ
■ 音楽 ゴラン・ブレゴヴィッチ
   

ジプシーのとき00


クストリッツァの映画は、哀しくて、可笑しい。
絶望的のようで、楽観的でもあり、人生の不可思
議さを多彩な人物を通して見せてくれる。

それにしても、どうしてあのような魅惑的な映像
を創造できるのだろうか。

この作品は、95年の「アンダーグラウンド」や
98年の「黒猫・白猫」に先んじて製作された傑
作である。




ジプシーのとき03

ジプシーのとき01


映画 ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 ☆☆☆

■ ANTHROPOID 2016年 チェコ/イギリス/フランス 120分
           (名演小劇場)
■ 監督 ショーン・エリス
■ 脚本 ショーン・エリス
            アンソニー・フルーウィン
■ 撮影 ショーン・エリス
■ 音楽   ロビン・フォスター

1709211.jpg

ナチスの魔の手で蹂躙されるプラハの街。

ハイドリヒを暗殺すれば、事態は好転していくのか。
むしろ苛烈な抑圧が展開されるのか。

この映画のキーポイントはその一点にある。


1709212.jpg








映画 オペレーション・メコン ☆☆☆

■ 湄公河行動 2016年 中国 140分
                  (シネマスコーレ)
■ 監督 ダンテ・ラム
■ 脚本  チュー・カンキ
              ラウ・シウクワン
              タム・ワイチン
              エリック・リン
■ 撮影 フォン・ユンマン
■ アクション監督 トン・ワイ
■ 出演 チャン・ハンユー
     エディ・ポン


1709182.jpg 

久々のダンテ・ラム監督作品の名古屋上映だ。
ラムの映画チームが見せる香港クライムアクションを
期待して映画館へ行った。

ラオス、タイ、ミャンマーにまたがる黄金三角
地帯の麻薬集団の撲滅のアクション映画である。

「密告・者」「証人」で私を魅了したラムのアク
ションシーンは、本作でもパワーアップして、2時
間20分の長尺をノンストップで疾走する。

ショッピングセンターのフードコートでの銃撃戦。
機関銃で特警を殺傷する麻薬漬けになった少年たち。
追う者と逃げる者の攻防。カーチェイス。
危機一髪のハラハラドキドキの連続である。

しかし「ブラッド・ウエポン」「激戦」で見せた
個人の哀しみや怒りはわずかに描かれるばかりで、
国家への献身ぶりの方が強調されているように感じた。

本作の製作が「香港」もしくは「香港・中国」ではなく
「中国」であるのも気がかりだ。
ダンテ・ラム監督には香港資本で、個人の怒りに満ちた
犯罪アクション映画をもっともっと撮ってほしい。



1709181.jpg 


夏の嵐 ☆☆☆☆

■ 1954年 イタリア 119分 (WOWOW)
■ 監督 ルキノ・ヴィスコンティ
■ 原作 カミッロ・ボイト
■ 脚本 スーゾ・チェッキ・ダミーゴ
       ルキノ・ビスコンティ
■ 撮影 
G・R・アルド
       ロバート・クラスカー
■ 出演 アリダ・ヴァリ
      ファーリー・グレンジャー 

1009101.jpg
  



1709102.jpg


恋しい。
恋しい。
あの人が恋しい。

その恋慕の情は
他人にはきっと愚かしい狂態と映るのだろう。

でも、狂態がなぜ悪い。
愚かでなぜ悪い。

壮大なスケールで華麗に描く女の真情。
ビスコンティが撮ると
なぜ、かくも胸を打つのだろうか。