映画 オペレーション・メコン ☆☆☆

■ 湄公河行動 2016年 中国 140分
                  (シネマスコーレ)
■ 監督 ダンテ・ラム
■ 脚本  チュー・カンキ
              ラウ・シウクワン
              タム・ワイチン
              エリック・リン
■ 撮影 フォン・ユンマン
■ アクション監督 トン・ワイ
■ 出演 チャン・ハンユー
     エディ・ポン


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久々のダンテ・ラム監督作品の名古屋上映だ。
ラムの映画チームが見せる香港クライムアクションを
期待して映画館へ行った。

ラオス、タイ、ミャンマーにまたがる黄金三角
地帯の麻薬集団の撲滅のアクション映画である。

「密告・者」「証人」で私を魅了したラムのアク
ションシーンは、本作でもパワーアップして、2時
間20分の長尺をノンストップで疾走する。

ショッピングセンターのフードコートでの銃撃戦。
機関銃で特警を殺傷する麻薬漬けになった少年たち。
追う者と逃げる者の攻防。カーチェイス。
危機一髪のハラハラドキドキの連続である。

しかし「ブラッド・ウエポン」「激戦」で見せた
個人の哀しみや怒りはわずかに描かれるばかりで、
国家への献身ぶりの方が強調されているように感じた。

本作の製作が「香港」もしくは「香港・中国」ではなく
「中国」であるのも気がかりだ。
ダンテ・ラム監督には香港資本で、個人の怒りに満ちた
犯罪アクション映画をもっともっと撮ってほしい。



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夏の嵐 ☆☆☆☆

■ 1954年 イタリア 119分 (WOWOW)
■ 監督 ルキノ・ヴィスコンティ
■ 原作 カミッロ・ボイト
■ 脚本 スーゾ・チェッキ・ダミーゴ
       ルキノ・ビスコンティ
■ 撮影 
G・R・アルド
       ロバート・クラスカー
■ 出演 アリダ・ヴァリ
      ファーリー・グレンジャー 

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恋しい。
恋しい。
あの人が恋しい。

その恋慕の情は
他人にはきっと愚かしい狂態と映るのだろう。

でも、狂態がなぜ悪い。
愚かでなぜ悪い。

壮大なスケールで華麗に描く女の真情。
ビスコンティが撮ると
なぜ、かくも胸を打つのだろうか。


   

DVD カサノバ ☆☆☆☆

■ IL CASANOVA DI FEDERICO FELLINI
    1976年 イタリア 154分
■ 監督 フェデリコ・フェリーニ
■ 脚本 フェデリコ・フェリーニ
       ベルナルディーノ・ザッポーニ
■ 影 ジュゼッペ・ロトゥンノ
■ 音楽 ニーノ・ロータ
■ 美術 ダニロ・ドナティ

 

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フェリーニのまえにフェリーニ無く
フェリーニのあとにフェリーニ無し

肉感的な嬌態
官能的で滑稽
狂瀾で純粋

フェリーニは映像の魔術師である。

映画 エル ELLE ☆☆☆

■ ELLE 2016年 フランス 131分
              (ミリオン座)
■ 監督 ポール・ヴァーホーヴェン
■ 原作 フィリップ・ディジャン
■ 脚本 デヴィッド・バーク
■ 撮影 ステファーヌ・フォンテーヌ
■ 音楽 アン・ダッドリー
■ 主演 イザベル・ユペール

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果てを知らない人間の欲望の、その果てを見るようだ。

イザベル・ユペールが演じるミシェルの複雑性と虚無感
ジュディット・マーレの扮する母親のけばけばしい存在感

何を見ているのだろう。
このフランス女優ふたりの目は。
底なしの凄さ、怖さ。
それがこの映画を成立させている。


映画 十年 ☆☆☆

■ TEN YEARS  2015年 香港 108分(名古屋シネマテーク)
■ 監督 クォック・ジュン「エキストラ」
     ウォン・フェイバン「冬のセミ」
      ジェヴォンズ・アウ「方言」
      キウィ・チョウ「焼身自殺者」
              
ン・ガーリョン「地元産の卵」
 
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2025年になったら香港はどう変わるのか。
その不安感を五つのエピソードで映像化した作品だ。

中国共産党の強大な圧力がじわじわと香港をおおう今
である。十年後ならどうなるか。
その危機感がスクリーンからストレートに伝わってく
る。

例えば、「方言」では、広東語を使う人たちの悲喜劇
を通して、思想統制につながる言葉狩りの恐ろしさの
萌芽が。
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「地元産の卵」では、共産党政府が監視の手先として
使う「少年団」の紅衛兵化が。
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十年後の香港はほんとうにどうなるのだろう。


DVD アルジェの戦い ☆☆☆☆☆

■ (原題)LA BATTAGLIA DI ALGERI
   1966年 イタリア/アルジェリア 122分 
■ 監督 ジッロ・ポンテコルヴォ
■ 原案 フランコ・ソリナス
       ジッロ・ポンテコルヴォ
■ 脚本 フランコ・ソリナス
■ 撮影 マルチェロ・ガッティ
■ 音楽 エンリオ・モリコーネ
      ジッロ・ポンテコルヴォ


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「アルジェの戦い」。
50年ぶりの再見だ。

いま観ても全く色あせてはいない。
欧州や中近東で頻発するテロと称される事件を
見るにつけ、この映画の強烈さはいや増して、
観る者に迫ってくる。


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1954年から62年に起きたアルジェリアの
戦争を、ジッロ・ポンテコルヴォたちは、記録
映像を使用せずに、冷徹にしかも力強く描いた。

フランス政府による謀略とそれに対するアルジ
ェリア民族解放戦線の報復の様を、エンリオ・
モリコーネの音楽とマルチェロ・ガッティのカ
メラが、ドキュメンタリー以上の生々しさで活
写する。

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民族独立のためのテロと呼ばれる手段はほんと
うに許されない行為なのか。

この作品はいまも観る者に問い続けている。

 

映画 ベイビー・ドライバー ☆☆☆☆

■ BABY DRIVER 2017年 アメリカ 113分
       (ミッドランドシネマ 名古屋空港)
■ 監督 エドガー・ライト
■ 脚本 エドガー・ライト
■ 撮影 ビル・ホープ
■ 編集 ポール・マクリス
       ジェナサン・エイモン
■ 音楽 スティーヴン・プライス
■ 出演 アンセル・エルゴート
      ケヴィン・スペイシー
        リリー・ジェームズ
       
ジェイミー・フォックス
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カーチェイス映画はこれまでにたくさん作られた。
今さら派手なだけの車追劇なら御免こうむりたい。

しかし、お気に入りのエドガー・ライト監督の最新作だ。
これだけはぜったい見逃せない、と映画館へ足を運んだ。


なんと音楽と映像が見事にシンクロしたノリノリの快作だった。 

これまでの作品は、サイモン・ペッグと共同脚本で撮っていたが
「ベイビー・ドライバー」はライトのオリジナル脚本だ。

ペッグは出演もしていないが、それでもクレージーな世界を
テンポよく展開させる巧みなライトの才気は並ではない。

この映画の主役は「音」だろう。
ベイビーのiPod。
黒人の里親の手話。
ベイビーの母親の歌声。
犯罪仲間と聴くイヤホーン。

「ベイビー・ドライバー」は、お金を払って観るのに惜しくない
今夏では貴重な一作だ。

エドガー・ライトの作品には感じるものが在る。

2004年「ショーン・オブ・ザ・デッド」
2007年「ホットファズ」
2013年「ワールズ・エンド」

映画 裁き ☆☆☆☆

■ COURT 2014年 インド 116分 (名古屋シネマテーク)
■ 監督 チャイタニヤ・タームハネー
■ 脚本 チャイタニヤ・タームハネー
■ 出演 ヴィーラー・サーティダル
            ヴィヴェーク・ゴーンバル

              
ギータンジャリ・クルカルニー
      ブラディーブ・ジョーシー


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民衆歌手のカンブレが逮捕された。
罪名は下水清掃人の自殺幇助。
カンブレの歌が自殺を煽ったという。

弁護人のヴィネィ
女性検察官のヌータン
裁判官はサダーヴァルテー


この映画の表現法に引き付けられる。

音楽を排除した現実音のみの映像で描写
するリアルな手法、だけではない。

裁きの場で見られる他の訴訟の取り入れ方。

証人たちの隠れた事情の表し方。

そして、何よりも素晴らしいのは、
弁護人、検察官、裁判官の日常私生活を描
いたこと。


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そうすることで、この作品は単なる裁判劇
映画のわくをこえ、生活している人たちの
姿を確かにとらえているなあと感じられる。

監督がみせる広がりの手法は、確かさを
描く方法でもあったように思う。


製作時28歳のインドの映画監督タームハネー。
この人のこれからの映画がとても楽しみ。


 

近郊の山 尾高山 2212m 2017.7.28


 ▲  
尾高山 2212m 

 ・ 2017年7月28日 曇り
 ・ 山行人数 6名
 ・ 歩行高低差 約380m
 ・ 歩行時間 約3時間(往110分 復70分)
 
  ① しらびそ峠(1833m)10:35
       雲厚く展望は望めない

  しらびそ峠
 
  ② いざ登山口へ   10:40
  登山口

  ③ 最初の急登を過ぎて平坦な径を行く 
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  ④ ダウンアップが始まる 
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  ⑤ 緑が美しいシダの森
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  ⑥ ギンリョウソウ
   
 白馬が二頭立っているように見えた
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  ⑦ ゴゼンタチバナ
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  ⑧ 前尾高山2082mに着く 11:28
     山頂といっても林に覆われている
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  ここから山頂まで1時間のダウンアップ
  はきつい。森の空気はひんやりとしてい
  るが、湿気が高いため皆大汗をかく。
  そして、最後の急登。
  だれもが相当にバテた。


 ⑨ 尾高山の山頂に着く 12:30
   やっと見つけた山頂は何と林の中であった!
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 展望には恵まれない今回の山歩きだった。
 でも、尾高山は美しい緑におおわれた山だ
 と実感できた。それは曇天のおかげだった
 かも知れない。

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尾高山の緑の鮮やかさの印象。
だれの胸にも残ったことだろう。


 【僕のどうでもいい付記】
 山へ出かけたみやげとして、僕は決まって、
 山頂近くの小さな石くれをひとつ拾って帰る。
 なるだけその山のかたちに似た石を選ぶ。
 今回の尾高山は下の石である。


 山のみやげ

 ついでながら、僕の山の箱の中には現在、
  「山のみやげ石」が20余個入っている。
 撮った写真以上に僕には大切な物だ。

 それにさわると、あの日、あの場所の情景がよみがえる。

 
空、雲、霧雨、烈風、そよ風、雷光、這松、・・・。
 山で飲んだコーヒー、底が剥がれた登山靴・・。
 雪斜面に落としたテルモス、笹で切った手の平・・。

 濃霧のなかで見た雷鳥の親子、入れ替わる雨と雲・・。
   ずぶ濡れのシャツ、痙攣した左脚、小屋での頭痛・・。
   初めての ホワイトアウト、冬の夜空の無数の星・・。 

 石は身体の中によみがえる山の記憶装置。
 

映画 22年目の告白 ‐私が殺人犯です‐ ☆☆

■ 2017年 117分 (ミッドランドシネマ名古屋空港)
■ 監督 入江悠
■ 脚本 平田研也
        入江悠
■ 撮影 今井孝博
■ 音楽 横山克
■ 出演 藤原竜也
        伊藤英明
        夏帆

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禍々しい殺人の告白本を発表する加害者。

たぎる憎悪と報復感情を露わにする被害者の家族。

世間の興味を煽るように報道するメディア群。

いったい殺人犯のねらいはなにか?


残虐なシーンを絡めつつ、観客の推理を巧みにはぐ
らかしながら映画は展開する。引き込み方も上手い
と思う。

しかし、観終えたとき、おや?と思う点がどうしても
いくつか残る。どうもスッキリしない。
もっと旨くだましてほしかったな、と正直思った。
(詳しくは未見の人のためにこれ以上書かないが‥)